そしてラッパーになる

作者 MC三郎

12

4人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

 エピソードの目次を眺めただけで、日本語ラップをこよなく愛する方が書いたんだろうな~と思ったのですが。事実、HIP HOPやラップという表現への愛とリスペクトが徹頭徹尾に詰まっていました。ラップは自分を、自分を取り巻く世界を変える。
 僕のように日本語ラップに馴染んできた(といってもかなり日は浅いですが)人間にとっては、「こういうの読みたかったんだよ!」とハンズアップするような一編です。それ以上に、HIP HOPに馴染みのない人にこそ、その魅力を快適に紐解くのに最適な一編だと感じました。

 というのも本作でMCバトルに挑むことになるメインの女子二名(何もかも正反対)、当初はラップを全く知りません。これほど知らないって高校生も珍しいような気もしますが、それはそれでご愛嬌。
 そんな二人が、ラッパーを諦めたHIP HOPファンである主人公に、ラップを一から教わりながらMCバトルへ向かっていくという展開なので、初心者二人と同じペースでHIP HOPに入っていけるはずです。勿論ヘッズの人も、章タイトルや登場トラックになっている楽曲にニヤニヤするも良し、レクチャーの仕方に唸るも良しです。
 そして単に教える/教わる関係に留まらないのも面白い所です。教えていく中で、それぞれの理由を懸けてバトルに挑む姿に刺激を受けていく主人公の内面にもご注目を。

 そして本作のキモであろう、MCバトル。プロからド素人、女番長から文学少女まで、来歴も個性もそれぞれ違うMCから放たれるverseの多様さ、粋の競い合い方の広がりが非常に楽しいですし、僕もフリースタイルへの興味を一層掻き立てられました。勝負を分ける要素としても、韻やビートといった一般的なスキルのみならず、その場のオーディエンスの客層や感情まで考えられているのも面白いです。

 中でも、怒涛のクライマックス、最終決戦の熱量は格別です。
 一… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

たぶん、最終章 章題が伝えたかったすべてなんじゃないかな、と。
それでも、たぶん、いや、絶対に、正確に、言葉にしたかったすべてじゃない、とも思える。だから、つまり、まだまだぜんぜん言葉に変換したい熱量とか、想像とか、感情とか、憧憬とか、照れとか、恥とか、そういう、みたくない、みせたくない、なにより、かきたくない全部の、まだまだ入り口。まだ、なにか、包み隠してるんじゃないかと期待しています。