#2 僕は変態じゃない!
山田さんはよく餌付けをされている。
今日のお昼だってそうだ。
「ほれ山田っち、セブントゥエルブの新発売のメロンパンだぞ〜!」
同級生でホルンを担当している渡辺さんがメロンパンを持って山田さんに近づく。
山田さんは渡辺さんのメロンパンを見て目を見開いた。
「なにそれ!ちょこ?ちょこ?」
「そうそう、チョコレート味のチョコチップ入り。」
「わあい!いっただっきまー……!?」
渡辺さんがヒョイッとメロンパンを持ち上げた。山田さんは小さな体でぴょんぴょん飛び跳ねるが一向に届く気配はない。軽く10センチ位差はあるだろう。
「5時限目の物理、寝ないって約束してくれたらあげるよ。」
「分かった!寝ない!」
「はい、寝たらお金返してよ。」
「へいへいへい!ありがとうございまーす!」
授業中や部活の時とは違ってお昼の時間はかなりテンションが高い。
本当に、山田さんは理不尽だ。
「山田さんって、身長何センチなの?」
なんとなく気になって、部活中に聞いてみた。
「…多分さいとーより30センチ小さい。」
僕の身長は174センチ。ってことは…
「え、144!?」
「なんだよ、悪いかよ…。」
山田さんが少し顔を赤らめて答えた。恥ずかしいのかもしれない。
「いや、いいんじゃない?可愛いサイズ感というかなんというか… 。」
「なぁ、さいとー。」
「ん??」
「さいとー最近なんかムカつくからやっぱりタメ口禁止。」
「え!?だって山田さんが敬語使うなって…。」
「うるさいなぁ、駄目なの!もうバイバイ!」
理不尽だけど、ムカつかない理不尽。
山田さんだから、といえばそうなのかもしれない。
彼女の人格がそうさせている気がする。
「ねえ、斎藤…。」
「!?あ、渡辺さんか…。どうしたの?」
「山田見てニヤついてるとかまじ?変態じゃん。」
は?
僕がニヤついてた…??
「違う!ニヤついてなんかない!そして、僕は変態じゃない!!」
吹奏楽部の山田さん 南萠衣 @Minami-moe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。吹奏楽部の山田さんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます