何がなくても、幸せというものは、きっと。

人間にしてみたらもう70歳を超える年齢の、作者様の飼っているチワワであるわびすけ君。
年齢のせいもあり、体の不調はあちこちに増え、それに伴い食事制限も厳しくなり、食欲も減退し……
そんなわびすけ君が、自分自身の日々を渋くダンディな口調で語る物語です。

生き物の命には、必ずいつか終わりがくる。太陽が輝くような若い時代を経て、日が傾き、次第に夕闇が迫る。
けれど——
少しずつ、これまであったものを手放さなければならないとしても……
傍にいるものたちの愛情に、包まれているならば。
たとえ、目に見えるものが手の中に何一つ残っていないとしても……
温かく寄り添ってくれる誰かがいるならば。
幸せだけは、間違いなくそこにある。

生きることの喜び、悲しみ。そして、「幸せ」というものの不思議。
短い文章の中に、それらの大切なものをぎゅっと詰め込んだ、切ないほどに温かな掌編です。

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