幕間 死神

「報告致します! リバタニア軍第5集団、壊滅した模様!」

 通信担当の仕官が、おにぎりの敬礼をしながら直接そう告げた。


「ほう」

 報告を受けた銀髪の男は、眉をわずかに動した。


 絨毯敷じゅうたんじきの広間に、広スペースを無視してブレインパワーチャージャーが置かれている。


 日焼けマシンのような、あるいは酸素カプセルのような、そのブースから出て、立ち上がった銀髪の男は、長身痩躯。頭には、ニョイニウムへの思考エネルギーチャージ用のコイルメットが装着されている。


 数瞬の沈黙の後、銀髪の男は尋ねた。


「弟は?」


「……大変申し上げにくいことながら」


「そうか」

 銀髪の男は、その報告も、冷静に受け流す。



「……弱いものは死ぬ。それが自然の摂理だ、そうだろう? ニーチェッチェ先生」

 銀髪長身の男は、コイルメット越しに、機動哲学先生モビルティーチャー「ニーチェッチェ」に聞いた。



『その通りだ、我が生徒搭乗者スチューロット、ギンボスよ。神ですら、死ぬのだ』



 思考金属の塊による回答もまた、冷たいものだった。

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