第94手 光の世界

 完全に将棋星人のオーラは消え去った。


 俺が飛車に纏わせていたオーラも底を尽き、俺が乗っていた飛車は地面に落下した。俺の体も慣性により宙へと放り出される。


「ぐあっ!」


 地面へ叩きつけられた。


 痛い。


 だけど、俺らはこの大事な対局に勝ったんだ。


「たれぞー!」


 かおりの声だ。俺が転がっている場所まで駆けて来る。


「香…。終わったぞ…。これでまた将棋が指せるな…。」


「ああ! だけど、怪我人がいる! せめて最低限の治療ができる病院へ連れて行かねぇとな…! てか、たれぞーも行ってこい!」


 そりゃそうか…、!


 俺も、立つ力すら残っていない。


「羽野五段…。それならば怪我人はわたくしの能力で運びますわ。重傷者もいますし、急ぎましょう!」


「すまねぇ、星六段…。香、すぐ治して来るからな。」


「ああ。死ぬなよ。」


 星六段の風の力で、俺の体はフワリと浮き上がった。既に他の怪我人達も宙へと浮いている。


 みんな、なんとか持ち堪えてくれよ?


 これから先もずっとこのメンバーで将棋を指して行きたいんだから。


 なんだか、太陽がいつもより眩しい。


 眩しさに負け、俺は静かに目を瞑った。


 ——————————————


 ☆第6局 将棋星人襲来篇 完結


 次回より


 最終章『100年後の将棋篇』


 始動!

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