第55手 強さのインフレを抑えれなかった世界
「ぐ…がっ…!」
これ以上、傷口から内臓が溢れ落ちないように、両手でしっかりと体内へと押し込むような動きをしている。しかし、顔からは汗がボタボタと流れ、傷口からはダラダラと血が流れ続ける。遂には、自らの血溜まりに倒れ込んでしまった。
「香ー!!」
俺は、背筋が冷えるような光景を目の当たりにして、冷静さを失い、香の元へと走った。
「羽野くん…!落ち着いて!!」
背後からランかリンが、俺を引き止める声が聞こえる。だけど、香が…!
「次はお前が死ぬか…?」
俺は、斬を構えて、邪龍へと突っ込む。コイツを刺し違えてでも殺してやる…!
しかし…
「隙だらけだ…。」
ダイナミックな動きで、斬を大きく振りかざす俺に対して、邪龍は、体を一切微動だにせず、尻尾で俺の身体を薙ぎ払った。
左半身にとんでもない衝撃が走る。直撃した左腕は完全にへし折れ、肋骨までもが粉砕される。
「ぐあっ…!」
地面をゴロゴロと転がる。あらゆる所を地面に削られ、擦り傷だらけになってしまった。
それに体の中が熱い。全身バラバラになってしまったかのようだ。動きたいのに、動けない。
香が…死ぬ…!
「あなたも、隙だらけですわね。」
絶望に沈みそうになった時、星六段が上空から飛車を邪龍目掛けて投げつけた。
以前も『殺る将』の一人を殺した技だ。
不意打ちだから避ける暇などないだろう。案の定、風を纏った強烈な飛車が邪龍の首へと直撃した…!
ダメージは与えれたのか?
「なんだ…今のは?蝿か…?飛車か…?」
なんと、邪龍の皮膚は、飛車による攻撃を一切通さなかった…!
「お返しだ…。」
今度は邪龍が、上空の星六段目掛け、無数の黒い歩の鱗を飛ばした。その数、ざっと何千枚は下らないだろう…!
「ぐっ…あー!」
黒い歩が星六段の全身を切り刻む。空からは赤い血の雨が、俺らに対して降って来た。
血塗れになりながら墜落する星六段。
しかも、真下には邪龍が斬でできた角を構えて立っていた。
「ほ…星…六段…!」
角の先端が、星六段の腹部に侵入すると、あっという間に体を突き破り、背中から鋭い先端を覗かせた。落下して来た勢いもあり、太い角の根元まで一気に傷口を広げ、貫いてしまった。
星六段は微かに痙攣している。
「ぐ…うっ…ご、ごふっ…!」
星六段は、濁った呻き声と共に、口から滝のように血を吐き出した。
「二人目だ…。」
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キャラ紹介10
46歳
闇属性
レーティング:18500
(棋力13000、オーラ力5500)
かつては複数タイトルを保持していた程の実力者。46歳にしてA級に在籍。ロリコンであり、犯罪臭もする。
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