第52手 何事も原点は大事な世界

 星六段の能力で手に入れた翼は、とんでもない加速度を秘めていて、ほんのちょっとの時間で頂上へと到着してしまった。スピードに関しては、最早チート級だ。


「つ、着いたぞ…。一体誰がいるんだ…?」


 俺は、広大な、タワー頂上一帯を見渡す。


 すると、遠くに人影が見えた。


 やはり、いた!


「おい、たれぞー!さっさとアイツをぶっ殺すぞ…!」


「あ…ああ!」


 また一人で暴走を始めた香の後を追いかける。その後ろをラン、リン、星六段が追いかけるという、いつもの構図だ。


 段々と人影がハッキリして来た。


 それと共に俺の中でも、何かがメラメラと燃え上がる。俺らはすぐに人影の正体が分かった。


「またお前かよ…!バカ兄貴ッ!」


 タワーの上にいたのは、俺の兄、底歩そこふであった。


「やはり来たか…たれぞー。だが、もう遅い。都心が麻痺した今、日本は間もなく滅びる。」


「ふざけんな!今すぐ空を元に戻せ!」


「やれやれ…。本当にプロ棋士は小賢しい奴らばかりだ。黙って、世界が潰れて行くのを見ていればよかったものを。」


 バカ兄貴は、極玉ごくぎょくを使ってオーラを増大させている。あの時以上の力だ…!


「お前らは、本当に今の将棋界が…この世界が正しいと思って戦っているのか?」


「な、何が言いてぇんだ?」


「もう、原点に還ろうではないか…。将棋も、世界も。本当のあるべき姿に。そのために一度、今の文明は滅ばなければならない…!」


 本当のあるべき姿…?


 ーーーーーーー

 キャラ紹介⑦


 大鳥居おおとりいチュン鶏王けいおう


 32歳


 火属性


 レーティング:18700

(棋力11100、オーラ力6600)


 頭にはトサカのある棋士。鶏王戦で得た卵一年分を持て余しており、卵の大半を腐らせた。

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