第51手 翼が生える世界

 俺らは、東京スカイツリーver.3の2階にあるデッキへとやって来た。相変わらず空は、禍々しい闇で覆われている。


 また、遠くでは、猫王にゃんおう鶏王けいおうが馬と戦っているのが見える。


 猫王は素早い動きで、馬を翻弄し、そして隙を見つければ引っ掻いている。一方の鶏王は、腐った卵をひたすら投げつけている。最早、将棋ではない。しかし、彼らの身のこなしからは、やはり、タイトルホルダーとしての異次元さを感じることができる。


「さあ、みなさん…。行きますわよ。」


 星六段は、俺らに風のオーラを放って来た。


「うおっ!?」


 すると、とんでもない変化が俺らの身体に起きた。なんと、背中から、さぞかし立派な翼が生えて来た。


「うわっ、翼だ!」


「これで飛べるようになったんだね…!」


 ランとリンが互いの翼をムニムニと触り合う。


「よし、お前ら!さっさとタワーの最上部まで行くぞ!」


 翼の生えたかおりは、中々に可愛かった。そして香は、以前から空の飛び方を知っていたかのように宙へフワッと浮いた。


「翼は十数分で消滅しますわ。途中で堕ちないように急ぎましょう。」


 なんて、リスキーな…。


 俺らは、一斉に地上とはオサラバし、闇が渦巻く空目指して飛び立った。


 いつも宙を飛び交う駒達は、こんなにも心地がいいものだろうか?


 この絶望迫る状況で、俺は呑気なことを考えていた。これから起きる惨劇など知らずに。


 ーーーーーーー

 キャラ紹介⑥


 レオ猫王にゃんおう


 21歳


 雷属性


 レーティング:18200

(棋力12000、オーラ力6200)


 金髪で、あらゆる所にピアスをし、まるでチャラいホストのような格好をしている。初代猫王であり、マタタビが好物。

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