第48手 けものフレンズな世界

「お馬さんが喋った…!」


「大きいし、ホントに強いオーラを感じる…!」


 ランとリンが後ろで怯えている。俺からは言わせれば、お前ら双子も十分な化け物だが。


「痛ってぇな…!てめぇ、何者だよ!?ぶっ殺すぞ!?」


 かおりのダメージはそんなに深刻ではなかったようだ。良かった…。


「吾輩は馬である。主人あるじにより生を授かった…。」


 生を授かった?やはりこの『馬』は、将棋の駒が具現化した物…!一体、どんな能力を使ったらこんなことができるんだ?


「お前の主人あるじってのは誰だ?」


 俺は、斬を手に構えて馬に尋ねる。


「お前らはここで死ぬ。知る必要も無いことだ。」


 馬はそう言うと、突然俺らに向かって猛スピードで突っ込んで来た。速すぎる…!しかも、ちょうど俺のコビンから攻めて来やがった!(コビン:駒の前方斜め。)


 俺はガードが遅れる。しかし…


「この、バカ馬め…!」


 危機一髪だった。ランとリンが、俺の前に飛び出てくると、馬の顔面に回し蹴りをかました。強烈なカウンター!岩を軽々と砕く程の威力がある蹴りだ。流石の化け物馬でも、一溜まりもないだろう。


「…その程度か?」


 馬は、何事もなかったかのように、ラン、リンを睨みつけた。


「は、離れろ…!」


 俺は、動揺している様子の天音あまね姉妹に叫んだ。


「お返しだ…!」


 馬は、ラン、リンのガラ空きになってしまった腹部に強烈な蹴りを入れた。


「ぐはっ!」


「ぐっ…あ…!」


 二人の小さな体は、先程の香と同様に物凄い勢いで吹き飛ばされ、地面を転がった。強すぎる…!守備に加えて、攻撃力も半端ではない。


「ラン!リン!」


 先程とは逆に、香が二人の元へと駆ける。


「うっ…ちょっと苦しいけど…大丈夫…!」


「お馬さんだと思って…油断しちゃった…!」


 この姉妹は生身なのに、なんて防御力だ。馬も顔負けの肉体をしている。しかし…攻撃が通らないんなら、このままだと俺らは全滅だ。


 そんな不安が頭を過ぎった時だった。


「ぐあっ!!」


 馬の顔面に、なんと卵が飛んで来た。


 割れた卵は強烈な臭いを発する。まさに腐乱臭。


「なっ…何者だ…!?」


 馬が、卵が飛んで来た方角を睨みつける。


「にゃにゃ!鶏王けいおう、ナイスコントロール!」


「鶏王戦で貰った卵一年分がまだ余っていたが、やはり腐っていたか。」


 猫王にゃんおう・レオと、鶏王・大鳥居おおとりい チュンが背後に立っていた。


 ーーーーーーー

 キャラ紹介③


 天音あまね ラン五段(21歳)


 15歳


 火属性


 レーティング:12500

(棋力9000、オーラ力3500)


 近未来パワーオセロの高段者でもある筋肉女子。駒を使わずしても、相手をKO勝ちできる力を持っている。

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