第47手 馬が喋る世界

 俺らは、逃げ惑う群衆とは逆の方向へと走り出す。目指すは、『東京スカイツリーver.3』。幸い、そんなに遠くはない場所だから良かった。


 AIがまともに機能しなくなった今、戦えるのは俺らプロ棋士だけだ。


 くそ…!こんなことして、犯人は一体何がしたいんだ!将棋界どころか、都心が麻痺すれば、日本全土が混乱するじゃねぇか!


 それに、AIが機能していない今、他国からも狙われる恐れもあるんだ。


 せっかく第三次世界大戦の傷も少しは癒えて来ていたのに。


 本当にこのままじゃ、呑気に将棋を指している場合ではなくなる。


「おらぁ!おめぇら遅いぞ!もっと走らんかぁ!」


 先頭を突っ走るかおりが、俺らに喝を入れる。


「そんに急がなくても、もう着くじゃねぇか…!」


 東京スカイツリーver.3は、もう目前だった。いつ見ても、恐ろしさすら感じる巨大なタワー。その1階の入り口まで、あと300メートルと言ったところか?


 あと少しで、誰だか知らないが、訳の分からないことをしている奴をぶん殴れる。


 安易にそう考えていた…


「ぐあっ!」


 突然だった。


 いきなり現れた黒い巨大な影が、先頭を走るかおりに強烈なタックルをかました。


「か…かおり…!」


 香は、地面を激しくゴロゴロと転がり、うつ伏せに倒れる。


篠崎しのざきさん…!」


 ランかリンか分からないが、倒れた香の所へと駆け寄る。


「だ…大丈夫だ…!ギリギリで水のガードをした!」


 そうは言うものの、口の端から血を流し、服はボロボロになってしまっている。


「なんだ…コイツは…!?」


 俺は呆気に取られた。目の前に現れた者。それは、真っ黒で、高さが5メートル以上はある、規格外の『馬』だった。


 闇のオーラを感じる…!


 しかも、俺の読みに間違いが無ければ、コイツのレーティングは、2万を越えている…!


「お前ら…プロ棋士だな?ここは、通さない…。」


 しゃ、喋った…!


 ーーーーーーーーー

 キャラ紹介②


 篠崎しのざき かおり六段


 15歳


 水属性


 レーティング:14100

(棋力10700、オーラ力3400)


 口が悪いが、将来の女性名人と言われている程の実力がある。羽野はの 垂歩たれふの姉弟子にあたる。胸のサイズはAカップ。

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