第4局 邪龍召喚篇

第46手 闇の世界

『緊急避難速報です!東京にいる方は、すぐに避難の準備をお願いしますッ!そして、自衛隊、警察の指示に従い、冷静に避難しましょう!突如、青空が黒い煙のような物に覆われました!一部では、これが原因と思われるAIの暴走により、人的被害も確認されています!また、停電も各…』


 テレビが消え、日光も遮られ、時計の針は正午を過ぎた頃なのに、外は闇一色だ。


 この日、俺は、かおりの家で久しぶりの女子会をしていた。天音あまね姉妹も含めての、いつものメンバーだ。


「何これ…怖いよ…」


「私、暗いの苦手だよ…」


 天音姉妹…暗闇の中だと、いつもの百倍は見分けがつかない。


「たれぞー、これって…」


「ああ、間違いねぇ。とんでもない量の闇のオーラを感じる…犯人は間違いなく将棋棋士だ…!」


 そう、俺らは、プロ棋士だからこそ分かった。空を覆う闇の正体…これは、駒から発生した闇属性のオーラなのだ。


 一体誰が、何の目的で…


「よく分からんけどよ…あたしらが行くしかねぇんじゃねぇか…?」


 かおりは、サッと立ち上がると、素早く家の外へと出て行った。


「待てよ!俺らも行くから…!」


 慌てて香について行く。更に、天音姉妹も俺の後ろを駆け足でついて来た。


 外へ出ると…それは、初めて見る光景だった。


 空一面は、逃げ惑う人々の車で大混雑していた。


 車に、飛行機能と自動運転機能が付いてから、渋滞が完全になくなった筈なのに。


 そうか…。空を覆う闇のせいで、AIが正常に働いていないんだったな…。


 現代を生きる人達は、AIが無ければ車の運転もまともにできないということか。


「おい、たれぞー!あそこ見てみろ…!」


 かおりが、『東京スカイツリーver.3』を指差す。東京都渋谷区…千駄ヶ谷せんだがやに建てられた、高さ3333メートルの日本一高いタワー。


 その先端付近から、闇が渦巻きながら上空へと昇って行っていた。


 何だよ…案外、犯人は近くにいてくれたじゃねぇか…。


 絶対にぶっ飛ばしてやる…!



 ☆第四局『邪龍召喚篇』対局開始!



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 キャラ紹介①


 羽野はの 垂歩たれふ五段


 17歳


 光属性


 レーティング:7800

(棋力1200、オーラ力6600)


 ヘタレ主人公だが、兄の底歩そこふとの対局の際は、『覚醒』状態になることに成功。

 姉弟子のかおりに暴言を吐かれるのが大好きなドM。

 あだ名は、『たれぞー』。


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