第45手 終末が訪れる前の世界

 あれから1週間が過ぎた。


 猫王にゃんおうの容態は、かなり悪かったが、どうやら命の危機は去ったようだ。意識も戻り、少しずつ会話ができるレベルまで回復した。


 話を聞く限り、猫王が操られていたのは事実のようだ。ただ、誰に操られていたかは不明で、ここ数ヶ月の記憶が無いらしい。


 それにもしかしたら、狂死きょうし犬王けんおうも操られていたかもしれないという説まで浮上している。


 そうなれば、もはや、今回のタイトル戦は死者を増やし、将棋界は大きな犠牲を被っただけだ。


「おい、たれぞー!おめぇ、何暗い顔してんだ、ぶっ殺すぞ!」


 毎度のことながら入院している俺に、かおりがお見舞いに来てくれた。


「いや…将棋界…これからどうなるんかなって…」


「は?そんなこと心配すんじゃねぇよ。情けねぇな!心配するぐらいなら、お前がもっと強くなれや…!」


 俺が…強く、か。


 俺が大好きな将棋。


 今、間違いなく将棋界は、消えて無くなる瀬戸際まで来ている。将棋が生活から消えるのは嫌だ。


 将棋界を守るために俺ができること…


 一体何があるんだろうか。


 ひたすら将棋界の現状を憂いてしまう。


 だがそんな中。


 無情にも…


 将棋界どころか…


 日本…


 いや、世界滅亡の危機が間も無く訪れる。


 ーーーーーーーー

 ☆第3局 猫王の野望篇 完結


 次回より


 新章『邪龍召喚篇』


 始動!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る