第43手 未発表の駒がある世界

「にゃ…これじゃあ流石に無理だ…」


 焦っている様子の猫王にゃんおう


「お前…よくも金太郎を殺したな…!」


 俺は、僅かに残ったオーラを飛車に込める。


「にゃにゃー!こうなったら…一か八かだ…!万田まんだ七段も死んだ今、リスクはあるが、『極玉ごくぎょく』を使ってやる…!」


 猫王は、懐から、極玉と書かれた駒を取り出した。


「にゃ!これは万田七段が発明しただ!これにオーラを込めれば…対局者のオーラが爆発的に膨れ上がる…!」


 まさか、これは…。俺のバカ兄貴が、人間離れしたオーラを手にしていたのは、これを使っていたからだったのか。フードを被った『殺る将』の一人が、万田まんだ七段だったようだから間違いないだろう。


「にゃ…これは寿命を犠牲にするが…今殺されるよりマシだからな!お前ら恐怖しろよ…!」


 猫王は、極玉を握り、オーラを込めた。すると、猫王からは突風が吹き荒れ、オーラ量がとんでもないことになった…!消耗し切った俺ら全員のオーラを軽く超えている!


「にゃにゃ…!お前ら…皆殺しだ…!」


 猫王が、飛車を手に構える。逆転を許してしまったかと思ったが、猫王の様子に異変が起きる。


「にゃ…?うっ…う…」


 突然、猫王が苦しみ始めた。


「う…ぐぷっ…!」


 胸を押さえていた猫王は、突然、滝のように吐血した。ガクッと膝を着き、更には地面を転がり、もがき苦しむ。


 既に消耗し切った体力では、極玉の副作用に耐えられなかったんだ…!

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