第41手 対人間用の必殺技がある世界

「た、たれぞー!」


 驚いた表情で俺を見るかおり


「おめぇ、傷、いいのかよ!?死にかけてたんじゃねぇのか!?」


「あ?まだ全然治ってねぇけど…いっつも負けてばっかだからよ…たまには活躍してぇんだよ…」


 そう、俺はいつも負けてばっかりだ。だけど、香だけは…絶対に俺が守るんだ!


「キサマ…俺の飛車を斬っただと!?毒島ぶすじまの弟子の分際で…」


 狂死きょうしは、驚いた反応を見せる。しかし、俺にとっては朝飯前だ。光は闇に強い…。巧くオーラをコントロールすれば、いくら強力な闇属性にも太刀打ちはできる。


「そうか…四五六しごむと同じ光属性か…!」


 狂死きょうしは、再び飛車を構える。


「こうなれば…お前らを、微塵も希望の光が見えない程の闇で覆いつくしてやろう!」


 狂死きょうしの飛車には、半端じゃない闇のオーラが込められていく。確かに、、いくら俺が光属性だとしても負けてしまう…!


 俺は、以前より温めていた、の『たれぞーシステム』をここで披露することに決めた。


 斬を思いっきり握り、オーラを込める。


 当然、斬を握った代償に、俺の指や手の平はズタボロになる。


「ぐっ!」


 体から血が無くなりそうだ…。それに今の俺のオーラ量じゃ、この局面だと自信がない。もう少し、オーラを込めることができれば…。


「情けない面するんじゃねぇよ…!」


 香は、俺が握っている斬を突然、横から奪った。


「おい、たれぞー!あたしが名人になったら、絶対挑戦者で来いよ!」


「……!」


 香は、躊躇なく斬を握りしめ、オーラを込め始めた。指の隙間からは、血がボタボタと零れ落ちる。今にも指が落ちそうなぐらい、斬が香の手を抉っていた。


「よし、これで二人分のオーラは入ったぜ…あとは、たれぞー!任せた…!」


 香は、再び血だらけになった斬を俺に渡す。


 ありがとう…


 俺は、まだまだ未熟だが絶対に勝ってみせる!

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