第31手 裏切り者が多い世界
俺は対局が終わると、すぐにロリコン師匠の元へと足を運び、
「うーん、まあボクはその話を聞いても全然驚かないや。それに、この件を会長に伝えたところで、彼は動くような人間じゃないしね…。」
「でもよ!これ以上犠牲者は出したくねぇんだ!」
俺は、自分が殺されるのが怖いんじゃない。誰かが殺されるのが嫌なんだ。厳密には、殺されたヤツが悪いとなってしまう将棋界の風潮が大嫌いなんだ。将棋で他人の命を奪うなんて、本来駄目だと俺は思う。
数百年前の将棋全盛期時代…死人どころか、怪我人が出たという話すら聞いたことがないのだ。
将棋は、どんどんおかしな方向へ向かっているように思える。
「たれぞー、そりゃ、誰も傷つかないのが一番だよ。だけど未来は、どんな時代でも、沢山の血が流れた上で作られていく物なんだ。君ら若い世代には酷かもしれないが、駒をしっかり投げつけることで相手を倒す。そうやって返り血に染まった、一番強い者だけが、未来を思い通りに切り開けるんだ。だからボクは、君でも十分に将棋界を変えることができる可能性があると思うよ。」
あまりにもロリコン師匠の話が長かったため、俺は話の半分以上が頭に残らなかった。
「まあ要するに勝てばいいってことだよな?」
「ん、まあね。負けなければいいんだ。金太郎くんの仇を取りたいんだろ?なら尚更そうだよ。」
師匠は、鼻くそをほじりながら言う。
「あと、この件はボク以外の誰にも言わないことだ。まだ将棋界に裏切り者がいるかもしれないからね…。」
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