第20手 将棋で手が切断される世界
バカ兄貴とロリコン師匠が顔見知りだと?そんなの初耳だ。
「いやー、
師匠は、辺りを見回し、悲惨な現状を把握する。
「
師匠は、懐から
「よし、
「あ…おう…!」
香は、珍しく師匠の指示に従い、盤上を離れた。そして、安全な所に移動させた、ランを肩で担ぐ。
「たれぞー、てめぇ、足引っ張るなよ!」
「任せろ…お前こそ、みんなを頼んだぞ。」
香は、俺の言葉が聞こえたのかどうか知らないが、返事もせず、師匠が作ったブラックホールにせっせと入っていった。それから豊田先生が星六段を運び、金太郎がリンを運んでいった。
「なんとか…助かればいいね。」
師匠は、そう呟いて、みんなが入って行ったブラックホールを消した。
「さあ、
そう、頭数だけで考えたら、こちらの方が不利だ。でも、師匠と名人は、将棋界では、トップクラスの強さを誇る。いくら、状況が一目不利に見えても、悲観する必要は無いだろう。
だが、バカ兄貴はここで意外な言葉を言い放った。
「この3人は俺一人で殺す。こちらもこれ以上犠牲者を増やすのは困るからな。お前ら3人は先に帰ってくれ。」
バカ兄貴は、やはりバカだった。1vs3で戦うつもりなのか?
「
「ああ、分かっている。」
バカ兄貴がブラックホールを作り出す。
「頼んだぞ、
まだ正体の明らかになっていないフード野郎3人は、怪しげな言葉を残し、ブラックホールへ入り、姿を眩ました。しかし、先程喋ったフードの男。あの男の声も聞き覚えがあるような…。
「おい、
「あー、知りたいかい?」
あ、それは俺も知りたい。
「たれぞーさ、
あー、確かに俺は香から御守りとして以前受け取った。
「あれ、ほんとはボクの手作りなんだ。ごめんねー。」
おぇぇぇええ!!!
「ふざけんなっ!俺は香の手作りだと思ったから、頬っぺたにスリスリしたりもしたんだぞ!?」
「ボクが香ちゃんに御守りとしてプレゼントしたのに、いらないからたれぞーにやったんだろうねー。」
そうか、それであの香が俺にあんな物をくれたって訳か。今でも大事に首から下げてしまっている。
「でね、それにボクのオーラもたっぷり込めたからさ、それを目印にここまで飛んで来たわけ。」
成る程。納得したが、俺は聞きたくない情報だった。
「そうか、お陰で俺らの計画は少しばかり崩れてしまったな…」
バカ兄貴の体から、突然恐ろしい程のオーラが溢れ出る。
「えっ?」
俺は、恐怖で足が震えた。師匠どころか、現在将棋界ナンバーワンのオーラ力を誇る、
これは、人間が扱えるオーラ量じゃない!
「来るよ…!みんな全力で構えてね!」
師匠が注意を促すが、もう遅かった。
「先ずは、お前だ、たれぞー。」
気づいたら、兄貴は俺の後ろにいた。
「あっ…!」
バカ兄貴が、『
ヤバい。
噴水のように血が噴き出た。痛い。これは、死ぬかも。
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