第4話 二人の使い魔

シュリの命令通り、イーラとクルーデーリスは任務に取り掛かった。


シュリはその場に立っているのもおかしいかと思って「椅子」と口で唱えた。

その瞬間に黒い渦が発生して立派な黒い椅子が出来上がっていった。


私の想像通りの椅子に足を組んで座ると私を呼ぶ声が横から聴こえてきた。


「遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。」


そう言って頭を下げたのは、先程ビンを用意するように言ったメトォスだった。少し遅いとも思ったが何も言わないようにした。


「こちらの品でよろしいでしょうか。」


メトォスはシュリの前まで来ると二つの透明なビンを差し出してきた。


「構わない。苦労をかけたな。」


もともと、この椅子のように力を使えば良かったのだろうが、どこまで体力が持つかも把握して無いため出来るだけ使うのを避けていた。


椅子を用意したのも力試しだったが、まさか自分が重い描いていた物が作られるとは思ってもいなかった。


「とんでもございません。どうかお気になさらず。」


メトォスは目をつぶりながら私に礼をしたが、その瞬間に話題変えた。


「シュリ様、カードを召喚したのですね。成功して何よりです。」


すぐ側にある崖の下にいる二人の使い魔を見て微笑んだ。


「ああ、今から人間を使って召喚した使い魔の力試しをしようと思ってな。私自身の力はあらかた把握出来たからな。」


「次は我々使い魔の力試しですか。」


私はその通りだと言うと崖からの景色を眺めた。


「素晴らしいですシュリ様。今回召喚したのは、イーラとクルーデーリスですね。あの二人は戦闘に特化している使い魔ですので、丁度良いと思われます。」


成る程、カードに関しては当たりクジを引いたようだ。今だに何も装備して居ない二人を見てどんな見世物をしてくれるのかと私は期待して待つことにした。


連れてこられた人間は三十人程度か。

男女問わず、年齢問わずだった。

共通点があるとすれば、全員灰色の服を着ているところだ。


殺してもいい人間。囚人か?

更に言えば死刑囚というわけだ。


「それでは、任務を始めます。クルーデーリス。」


イーラの爽やかな言葉に隣にいたクルーデーリスは黙って頷いた。


「戦闘装備、解放。」


静かにそう唱えると、二人は崖の下に落ちていく。

ニヤリと少女の笑みを浮かべたイーラは黒い服からバラが咲き、フリルをなびかせる黒い服へと変わり、手には指の一本一本に鎖が巻きついていた。


同じく、クルーデーリスは黒と水色を主に上に黒いコートを羽織っていた。

手には細長く、鋭い銀の槍が握られていた。



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悪魔の一声 桜澤 那水咲 @Namisa

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