第三十四回 靳準は自立して王延を戮す
「屍を切り刻んで見せしめとする方がよいのではないですか」
「それはならぬ。関山は忠臣である。民にはその屍を見せて吾に背かぬよう戒められればよい。晒した後は葬らねばならぬ。屍を収めて葬ろうとする者があっても阻んではならぬ」
関山と約していた
※
「関山を討ち取りましたが、関心と関河はまだ解にあります。このことを知れば、必ずや兵を集めて仇に報いようとするでしょう。先手を打たねばなりません」
靳術がそう言うと、靳準は人を遣わして様子を探らせる。すでに関心と関河は家を引き払って蜀に去った後であった。
「関氏の者たちは蜀に去り、憂えるには及ばぬ。平陽には
靳準がそう言うと、配下の者が報せて言う。
「諸葛丞相はすでに亡くなられ、子の
靳準の命により黄臣の許に人が遣わされた。
「吾が弟は半年ほど前に家眷とともに蜀に向かった。吾は老病のために同行できず、子の
黄臣は使者にそう語り、靳準はそれが偽りであると覚らず、腹心の者たちに言う。
「もはや平陽に敵する者はない。自立する時である」
「大事はすでに定まりました。すみやかに百官を職に任じて根本を固め、外敵を防ぐべきです」
靳術を
娘の
それより漢の旧臣で
※
先に光祿大夫の官にあった
靳準は王延が忠義にして才に優れていると知っており、害を加えるに忍びず三度も人を遣わして官に就くよう勧めさせた。やむを得ず、ついに王延は入朝して靳準に見える。
「二度も人を遣わしたにも関わらず、これまで顧みなかった。王公は不安を感じているのか。先に官職を削ったのは先帝の命であり、吾は悪感情を持っておらぬ。それゆえに朝廷に召し出して官に任じようとしておる」
「官職を受けるつもりはございません。丞相は
「王公は漢の恩を思われるが、吾もいささかの恩を施したいと考えておる。官職を拒むなど許されぬ」
「人にはそれぞれに志がありましょう。吾は漢の臣であり、その漢はすでに滅びました。理においては殉じて死ぬべきところであり、再び官職に就いて後世の謗りなど受けられませぬ」
「お前は死をもって吾を脅すつもりか。吾は恩によって先の罪を許そうとしているにも関わらず、お前は吾を蔑ろにしておる。無知も甚だしい」
怒った靳準は兵に王延を斬るよう命じた。
「死は願うところ、望まぬ生など願い下げだ。殺した後に吾が左目を
王延は言い終えると、頸を引いて刑を受けた。
執行した者が内に入ってその言葉を告げると、靳準は懼れて
「
李矩と祖逖はその書状を得ても軍勢を送らず、江東にある晋帝の
晋帝は大いに喜び、
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