第二十七回 段匹殫は劉琨を殺害す
晋の
長子の
幽州公の段匹殫は彼らを劉琨の麾下に置き、ともに
この時、段匹殫とその弟の段末杯の間に隙を生じ、段末杯は手を懐にして幽州を得た段匹殫を嫉んで一計を案じた。密かに劉群に説いて言う。
「卿の父君は中国の堂々たる士大夫、官は太尉にまで昇りながら、今や征北城の鎮守を命じられている。幽州はそもそも中国の内地であり、筋で言えば卿の父君が治めるべきであろう。それを北辺に追いやるとは、吾は恥ずかしく思っている。今、姫澹や衛雄など代の旧将があり、軍勢は一万を超えた。これは大事をなすに足りよう。吾と兵を合わせて幽州を取るよう、卿は書状を認めて父君に伝えられよ。事を果たした暁には、卿ら父子が幽州の刺史に任じられるよう取り計らう。それでこそ晋朝の大臣というものではないか」
厚遇されていた劉群はその勧めに従い、書状を認めた。段末杯は劉琨を説得するべく征北城に人を遣わした。
この時、征北城の郊外では
拘束して持ち物を調べてみれば、劉群が劉琨に宛てた書状を得た。すぐさま幽州に還って報告する。段匹殫は怒って使者を斬った。それより段文鴦と
「吾が劉琨を厚遇したにも関わらず、子の劉群は吾を討たんと書状を送っておった。これは劉琨の意によるものであろうか」
「事を伏せて劉琨を呼び出し、このことを責めて様子を観られればよいでしょう。実であれば罪を正さねばなりません。姫澹、衛雄、
段叔渾の勧めに従い、征北城に人を遣って劉琨を幽州に召し出すこととした。
※
経緯を知らぬ劉琨は、求めに応じて幽州に到り、段匹殫に見える。
「公の
「どうしてそのようなことがありましょう。われは
「吾もまた、公の心中にそのような汚濁はないと知っている。これは段末杯が嗣子を
「忠義の心は石に似て移らぬものです。余人が百計を案じたところで、某は一子のために徳に背く行いはできませぬ」
段匹殫はもとより劉琨の至誠を知る。酒宴を催して歓を尽くすと、征北城に還らせようとした。それを知ると、段叔渾が言う。
「この件は劉琨の関知せぬところです。しかし、麾下にある
段叔渾の言を聞き、段匹殫は劉琨を幽州の城の一室に留め、人を置いて監視させることとした。
※
そのことを知る者が報せると、段匹殫は衆人を召して言う。
「劉琨に従う者たちが大事を企てておる。どのように処するべきか」
「小義に拘泥して大事を誤ってはなりません。劉琨を除いて後患を断つべきです。辟閭嵩の謀がなれば、段末杯は必ずや軍勢を合わせて手出しできなくなりましょう」
段叔渾がそう言うと、段匹殫はついに人を遣って密かに劉琨を縊り殺した。従事の盧諶と
彼らは劉群に見えると、段末杯とともに兵を挙げて怨みに報いるよう勧めたことであった。
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