第八回 諸葛宣于は漢主劉聰を諌む
賢臣が職を辞して
「吾はこれまで家にあって病身を養い、国事に与らなかった。その間に
そう言うと、諸葛宣于は病身を推して朝廷に参内した。
劉聰は諸葛宣于を迎えて言う。
「
「ご下問を頂いたからには応えぬわけには参りません。皇太弟が亡くなって東宮が壊れ、諫臣が去って延明殿の瓦が地に落ち、大将軍が死して西明門が倒れ、
その言葉を聞いた劉聰は色を失って問う。
「久しく丞相の遠略を聞いておらず、朕は先行きを見通せぬ。正論を聞いても心に悔いるばかりである。この事態にどう処するべきであろうか」
「善行をなせば幸いがあり、恩徳を施せば慶事があるものです。それは天も人心も変わりありません。陛下におかれては、骨肉に親しんで勲旧の臣を信任し、奸人を排斥して佞人を遠ざけ、軍権を自ら掌握して
▼「遼の慕容部、代の拓跋部、燕の段部、趙の石勒」の原文は「鮮代燕趙」とするが、「鮮」の意味を解しがたい。文意より「遼」に改めた。
「宿将たちはみな、朕を棄てて職を辞した。誰が軍勢を束ねて不測の難を防げようか。丞相よ、思うところを述べよ」
「外には
劉聰が頷くのを見ると諸葛宣于は退こうとし、顧みて言った。
「石勒は防がねばなりません。しかし、
劉聰は諸葛宣于の直言に嘆息するばかりであった。それより王沈と郭猗を外任に出して靳準を遠ざけようとするも、皇后の
諸葛宣于は劉聰の不明を知り、もはや諫言を諦めたことであった。
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