第5話 見えざるもの

 翌日、日曜日。


 無能はです代と共に街外れの森林公園に来ていた。


「ここならペインに襲撃されても大丈夫だろ」


「昨日は無関係な人達を巻き込んでしまいましたしね」


 無能は辺りを見回す。


 杉や銀杏と中心とした林に木製のアスレチック等が所々に見受けられる。冬だからかアスレチックにほとんど人はいない。


「念のため完全に人がいない場所まで移動するか」


 少年は森の奥に移動する。


 しばらく待って。


「来ました」


 です代が告げる。


 100m先に巨大な二つの鎌を持った細長い金属製の物体が現れた。


「今度は切り傷、又は刺し傷か」


 無能はうんざりと呻く。


 です代はここぞとばかり、


「ここは私のリーサルウェポンの出番ですね。ぱんぱか」

 

 無能はです代が言い終わる前に、背負っていたバックから金属バットを取り出す。


「・・・ぱーん」


 です代はしゅん、としながら取り出した綿棒をしまう。


「さあ、来い!」


 無能とペインの距離が詰まる。


 ペインの大鎌が無能を狙う。


 俺はそれを金属バットで受け止める。


 ペインは反対側の鎌で横薙ぎしてくる。


 無能はそれをしゃがんで躱す。


 俺は金属バットでペインをブッ叩く。


 ぎぃぃぃん


 痺れる腕と甲高い音が響く。


「くそ!金属バットじゃ駄目か!」


 そこでです代がフォローを入れる。


「無能さん!ペインに手を掲げて叫んでください!『ペイン・オブ・ショック』と!」


 俺は距離をとり、手を掲げ、叫ぶ。


「ペイン・オブ・ショック!」


 ぼごっ


 金属製のペインがへこむ。


「効いてる!」


 無能はもう一度唱える。


「ペイン・オブ・ショック!」


 べごっ


 金属製のペインがひしゃげる。



「これでトドメだ!ペイン・オブ・ショック!」


 しかしその瞬間、金属製のペインが消える。


 これは。


「縮地?」


「無能さん!後ろです!」


 無能は反射的に前に倒れこむがーーー


 ザシュッ


 背中を切り裂かれた。


「無能さん!」


 俺は振り返り、金属製のペインの顔に手を当て、叫ぶ!


「ペイン・オブ・ショック!」


 ごぎゃっ


 今度こそ金属製のペインを粉砕した。


「無能さん!」


 です代が駆け寄り、治療する。


 しかし、


 傷が塞がらない。紫色の染みのようなものが広がる。


「これは毒?・・・いや違う、ウィルス!」


 です代の顔が曇る。


「ダブルペイン・・・」


 金属製のペインは切り傷とウィルス両方の痛みを持つペインだったのだ。


 染みはどんどん広がっていく。


 躊躇ってる暇はない。


「請願!」


 です代は続ける。


「5級神です代が求む!」


 です代は強く願う。


(無能さん)


「時の秘法の限定解除を!」


(さようなら)


 です代の体が光に包まれた。

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