第4話 襲撃
翌日、土曜日。
街にあるアーケードをです代と一緒に歩いていた。
「で、結局俺はどうすればいいんだ?」
「ペインからダメージを受けなければならないんですよ~」
です代は指を立てる。
「無能さんがある一定の『痛み』を負うことで、その痛みが『世界』に伝わるのですよー」
俺は尋ねる。
「そんなダメージを受けて俺は死んだりしないのか?」
「致命傷になれば死にます」
「おい!」
です代は胸を張り、
「大丈夫ですよ!私には回復の術があるんですよ!ダメージが致命的になる前に回復します!」
「傷の治りはともかく、痛み止めは3分しか持たないポンコツのな」
「うぐぐ」
そんな話をしていると、前から見知った顔の3人がやってきた。
「よう無能。こんな所でデートかぁ?」
「おっ。こりゃずいぶん可愛い子じゃねーか」
「君、うちの学校の子じゃないね。どこ校?」
です代は無能に尋ねる。
「知り合いですか?」
無能は苦笑し、
「昨日お前が言っただろ。いじめられっ子だよ。俺にいじめられる」
3人はそれを聞いて、
「おいおい随分態度でけぇじゃねーか」
「そう毎回毎回まぐれ勝ちが続くと思うなよ?」
「死ぬ?死んでみるゥ?」
その時。
ズンッッッ!!
いきなり大きな地響きがした!
です代はハッとする。
「無能さん!ペインです!」
アーケードの真ん中に現れたのは、岩で出来ていると思われる体長3メートルほどの巨人だった。
「くそ!人がいようがいまいがお構いなしか!」
「ななな何だこいつ」
「テレビの特撮か何かか?」
「でけぇ」
岩石の巨人は腕を横薙ぎにする。
「馬鹿!避けろ!」
無能は3人を突き飛ばす。
這いつくばった無能の上を巨腕が通過する。
「無能・・・お前」
無能は声を振り絞る。
「逃げろ!死にたいのか!」
その声に周囲の人々もようやく状況を理解したのか蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「です代!何か武器を!」
「はいっ!」
です代は帽子をあせくり、
「ぱんぱかぱーん!」
ハエ叩きを取り出した。
無能はそれを受け取って、
です代の尻にフルスイングする。
「あ痛っ!」
です代はぷんすか怒る。
「何するんですか!」
「何するんですか、じゃねーよ!またこの展開かよ!」
そんな事をしてるうちに、岩の巨人は間近まで迫って、腕を斜め上に振りかぶる。
まずい!
無能は咄嗟に、
「ポンコツ・バリアー!」
です代を盾にする。
「きゃあぁあぁ!?」
そして二人とも吹き飛ばされた。
「ぐっ!」
無能は胸に痛みを覚える。ろっ骨をやられたようだ。
だがこれで条件を満たしたはず。
「です代!なんか術はないか!?」
「盾にしたことは無視ですか!?}
「いいから!早く!」
です代は戸惑いながらも、
「縮地の術ならありますけど・・・」
縮地?瞬間移動か。
無能はピーンと閃いた。
「です代!その巨人を50m上空に飛ばせ!」
です代は、はっ、とした。俺の意図に気付いたらしい。
そのまま岩の巨人の懐に入り、横足にタッチして、
「縮地!」
です代は巨人と共に50m上空に飛ぶ。
そのまま岩の巨人は落下し、アスファルトに激突。バラバラになる。
です代は地上に縮地し、無能に駆け寄る。
「やりましたよ!無能さん!」
無能はよろよろと立ち上がり、
「です代、肋骨の回復頼む」
「はい、なのですよ!」
そして回復してるうちにチンピラ3人組が近づいてくる。
「無能・・・」
「悪かったな」
「助かったぜ」
俺は苦笑し、当たりを見回す。
「そうだな。お礼はそこの店の赤いポーチでいい。です代にプレゼントしてやれ」
「「「無能・・・!」」」
「無能さん!」
です代は胸に手を当てる。
こうして波乱の2日目が終えた。
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