それぞれの旅路

三十七通目 その声を聴け

愛する我が妹ローサリーへ


私が家を出て旅を開始してから、もう三年。

その間元気にしているようで安心している。

君の騎士としての名声は時折私の耳にも届いてきているよ。

華やぐ森の緑の香りに寄せて、精霊が教えてくれるから。


そして、良き声と共に悪い声も聞こえる。

家の周辺に多大な魔力の波の力が広がりつつあるという声。

万が一その波が暴走すればその周辺は消滅しかねないという声。

何かの予兆か、陰謀なのか、原因は私にもまだわからない。

そのため近々家に顔を出すことにしたよ。


家督を君に継がせて旅に出ていってしまった私だが、

それでも家族の身が心配になるのは当然のことだろう。

どうか身の回りには気を付けて。

君に精霊の加護があらんことを。


               君を愛する兄より

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