二十三通目 初等魔術通信講座

ハヤテ・タツヒト様


暖かでのどかな日々が続く中、いかがお過ごしでしょうか。

スノー・エルラです。

早速のご返信を頂き、ありがとうございました。


先日、私も魔導士部隊として、

モルガン氏の任務へ合流しサポートをしてきました。

その際彼女とお話をして、タツヒト様のお言葉をお伝えしました。

ドラゴン討伐の任務の先は長く、まだ続いている状況です。


また、タツヒト様が私に送ってくださった手紙は、

便箋に私宛と書かれていたため、

モルガン家の執事が私の家へ届けてくださいました。


原因については、

一度目の調査をしてから以降、まだ何もできていません。

折を見て、またモルガン家にお邪魔させて頂きます。


今回のお手紙の趣旨は、

魔法についての知識などを、

タツヒト様にお教えするということに他なりません。

これから、何回かにわけて、

「初等魔術学科基礎の基礎」、及び、

「魔導士じゃなくてもわかる魔力のこと」という書籍と、

私の知識を元に、ご説明しようと思います。

このような形で、お互いの世界でやりとりしている以上、

こちらの世界のことも、少しは知っていたほうが良いかもしれません。

また反対に、タツヒト様の世界のことなども、

私にご教授くださると幸いです。生活様式や、環境などで構いません。


それでは早速ですが、第一回目の説明を書かせて頂きます。


◆魔法とは、魔力を動力源に発動するもの

この世界は、自然で成り立っている。

空気があり、植物があり、水があり、空気があり、

その基盤の上で動物や魚が生きている。


そして魔法とは、その自然の力を借りて自然の摂理に干渉し、

我々の眼前に、自然現象を起こす力の総称である。

火をおこし、水をながし、風をふかせる。

その力を増幅し、自由に物を動かしたり、操ったりするのが、

魔導士と呼ばれる者たちである。


魔法は、魔力で発動する。

魔力がなければ、呪文を唱えても自然に干渉することはできない。


◆魔力とはなにか

魔法を行使するのに必要な魔力とは、

生命体が生まれ持ったエネルギーだということが、

すでに解明している。

生命エネルギーというものが、そのまま命であるならば、

魔力は精神エネルギーと言い換えても差し支えないだろう。

だがこれは、タフさなどの精神力のことではない。


魔力の総量は個体によってまちまちで、

人でも、微少の者もいれば、無尽蔵にあるのかと感じる者もいる。

さらに魔力を使うということ自体も才に左右されるほど、

不安定な力であり、誰もが使えるようになる技術開発は、いまだなされていない。


◆現在の魔法のメカニズム

魔導士の呪文は、

一定量の魔力量のある者だけが、魔法を行使するために、

魔力を餌に自然に語り掛け、

自然に潜む目に見えない精霊が動き、

初めて発動するようになっている。


従って、同じ魔法でも、同じ魔力量で発動するとは限らない。

精霊が満足しなければ、実のところ魔法は発動しない。

コンスタントに魔法を発動したければ、

精霊の機嫌を損ねないように、上手く付き合う必要があり、

それもまた、魔導士に必要な才覚の一つであろう。


今回は最初ということで、短めに終わります。

今後このような形で、魔法やこちらの世界のことを、

説明させて頂きます。

何か質問があれば遠慮せずに、聞いてください。


それでは、失礼致します。



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