いつものスーパーは早く閉まる
店先には花と正月飾りでいっぱいだ
目的はミニお節
世の中、楽になったもので
手作りなど、前からありませんでしたって顔している
こういうチェーン店の商売根性に拍手する
レジでは忙しそうにおばちゃんとお姉ちゃんが
いらっしゃいませ、と微笑んでいる
毎年、変わらない晦日
の、はずだけれども、花を見に行った
スーパー閉店ギリギリに、今日の昼間、ミニお節を買ったスーパーに
昼間から月がでてきそうな夕方
そわそわして落ち着かなかった
通り道のコスモスを見ても落ち着かない
この間、実家を見納めしてきたというのに
買いもしない花束を見るだけに
十分程のスーパーまで閉店まじかに自動ドアを開く
複数のレジは、半分以上しまっていて
店長らしき男性は売り場を整理していた
目の前には花束がある
菊を多くあしらった、誰か向けの花束
私は、これを買わないし飾らない
自己満足で自己愛に浸らない
もう終わったことで、明日からは心身ともに良い門出にしよう
そう晦日に決意したばかりだったのに
私は、自動ドアの前で立ち止まって邪魔だろう
横から駆け込んできたお客さんらしき人がすれ違う
実際、花を見ていたのは数秒程度、踵を返して帰路につく
もちろんコスモスを見、犬を散歩させる人を見、あのスーパーの袋を持つ人
自転車の人、老若男女、歩いていて
日が傾くのも早いものだから、いつのまにやら月がでてる
それは小さく感じて、小さく頼りない
帰ってお蕎麦を食べよう
でも去年みたくすき焼きは食べれない
なんたって祖父の金だったからね
やっぱり月は私を見透かして小さかった
花は月光、月夜に咲いて 朶骸なくす @sagamisayrow
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