家は家族の歴史を詰め込んだ、タイムカプセルの様だ。

 老人と少女の会話。その会話はうら寂しく、もの悲しい。
 老人の言葉は、まるで、廃墟と化した家そのものの言葉であるように聞こえる。家はそこに住む人々を内包し、歴史を刻む。そう言った意味では、この老人の発話は、まさに記憶のタイムカプセルを開ける行為ではないだろうか。
 これが、たった1話。たった1万字以内であることに、驚く。
 これだけの重厚感を持った物語が、たった1万字で表現されている。
 ある意味、破壊力すら感じさせる、物語だった。

 少女の正体を知る時、皆、衝撃を受けるだろう。

 是非、ご一読ください。

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