う○こ食う系動画配信者
@shadowww
う○こ食う系動画配信者
短編です。
苦手な人は読まないで下さい。
この物語はフィクションであり、実在の登場人物、団体などとは関係ありません。
「はあ、また今日も視聴回数全然のびてないなぁ~。」
中年おやじはため息をつくのがくせになっていた。
そんなある日、う○こを食べる動画を配信することを思いつく。普通なら無理だろう。だがこの男は違った。今まで散々失敗してきたこの男には他の方法が思いつかなかった。これに人生をかけてみることを本気で決心したのであった。
とりあえず、金魚から始めることにした。手早く金魚の飼育環境を構築し、金魚に向かってカメラをまわした。水槽とにらめっこ。ちゃんと金魚のう○こであることを証明するために、う○この瞬間をひたすら待つ。結構地味な作業だ。
そろそろおなかがすいてきた。
……そして、ついにカメラは決定的瞬間をとらえた。早速、おたまですくいあげ、フライパンにいれ、熱した。水分が完全にとんだところで、ピンセットでう○こをつまみあげ、カメラに向かって笑顔で一言。
「みなさん。この俺をわらうがよい。」
一瞬でピンセットの先を口に入れ、水で流し込んだ。
「まあ、なんとかなったな。」
そんな独り言をいいながら、編集し、アップロードした。SNSでも宣伝した。今までアクセス数の解析をみてもたいしてうれしくなったことがなかったので、解析結果を待たずして次の動画の制作を行うことにした。
次は、ほ乳類に取り組むことにした。手頃なところで犬を思いついたので、飼い犬に協力してもらうことにした。いつもの散歩タイムにカメラをもち、う○この瞬間を撮影した。それをビニール袋にいれ、家の前で袋をあけた。見た目や、においで圧倒されそうになりつつも金属製のスプーンで採取することにした。採取したう○こをバーナーの炎であぶることにした。においが拡散する。う○こを火あぶりする中年おやじ。水分は蒸発し、めちゃくちゃ固くなった。
(これじゃ食えない。……そうか、この大きさになると水分をとばしちゃいけないんだ。そうだ、包み焼きにしよう。)
そうして、この男はアルミホイルを用意してう○こをつつみ、フライパンで熱した。皿に移して、デミグラスソースを大量にぶっかけ、
「これはソーセージ型ハンバーグ。俺の大好きなハンバーグである。」
と、カメラに向かって自己暗示のセリフを大声で言い、さらに、
「いただきます。」
そう宣言して、何も考えず、ただ食らった。一瞬、においの刺激につられ、これについて考えようとしたが、思いとどまった。食感についても考えるのをやめた。ただ、噛むこと、飲み込むことに集中した。あまりにも無言で放送事故になるだろうと、予想はできていたので、楽園のような和やかなBGMをながすことにしていたので、その点は問題と思っていなかった。
何分たっただろうか?時間の概念がわからない。そんななか、最後の一口を口に入れ、牛乳でながしこみ、無事?挑戦は終了した。さすがにその日は編集できなかった。片付けをし、風呂に入り、寝た。次の日、編集はさすがにきついものがあった。冷静になって自分の愚行を何回も確認しながら、編集するというのは、実行中よりも心にくるものがあった。特に、ときより口の中の色が確認できると、何とも言えない気分となった。そうは思いつつも、なんとか編集を終わらせ、30分程度にまと
めあげた。もうこれ以上できないと思ったので、今回はアクセス解析をしっかりやろうと思った。
アップロードするやいなや、再生数は爆発的にのびた。おそらく、前回の動画や、SNSでの宣伝がマニア層に大ウケしただろう。色んな言語でコメントが書き込まれた。こうして、この中年おやじは承認欲求を満たすことに成功したのであった。
しかし、話はこれで終わらなかった。
もうここまできたら、最後はヒトのう○こを期待する声が加熱した。しかし当の本人は燃え尽きていた。
(もう充分やった。もう許してくれ。)
そして、自分のSNSを見るのをやめた。だが、別のサイトを見ていてもたまに自分の記事が目に入るようになってきた。次第に、ネットとは距離をとろうとしていたが、自宅に一本の電話が入った。
「あなたですよね。有名な、う○こ食う系動画配信者ってのは。」
「何のことですか?」
「大変なことになっていますよ。ネット見て下さい。賞金が……。」
「えっ?賞金って?」
電話は切れてしまった。
(でも、賞金ってなんだ?気になる。)
ひさしぶりに、ネットをみると、賞金を出すよという書き込みが大量にあった。
(俺ってこんなに支持されていたのか。)
なぞのやる気につつまれたこの男は最終関門を突破する決意を固めた。
まず、自分のう○こを用いることにした。やはり他人のは色々と問題が多そうだからだ。自分から出たう○こであることを証明するために協力者にきてもらうことにした。オリンピックのドーピング検査で自分の尿であることを証明する立会人がいるのを思い出したからだ。う○こが出てからは、犬の場合と同じ要領でやるだけだ。しかし、少しやわらかかったため、形を維持しそうになかった。そこで、今回は水分を飛ばすことにした。それをお湯にとかし、味噌スープならぬ、クソスープとした。
動画は以前とは比べものにならないくらいのびた。だが、さすがに不快に思ったユーザーから通報されまくり、削除された。住所は特定された。そしていたずらされた。
家の前には毎日う○こがおいてある。
ひどいときは郵便受けに一杯に詰め込まれている。
憤慨する毎日となってしまった。
う○こ食う系動画配信者 @shadowww
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