第7話 恋は難しい

 緋色が目覚めたのは三谷博士の研究所だった。


「博士。私ハドウシタノデショウカ」

「街中で熱暴走したんだ。不良から女子生徒を救ったからなんだって」

「イエ。私ノ方ガ救ッテ頂キマシタ。襲ワレソウニナッタトコロヲ庇ッテイタダイタノデス」

「そうは言ってなかったがな。感謝の気持ちだってこの写真を届けてくれたぞ」


 そこには、緋色に抱きつき胸を押し付けている星子と羽里の姿があった。緋色の両頬に唇を当てている。しっかりキスされていた。


「博士……コレハ……」


 緋色は再び熱暴走を始めた。


「不味い。これは不味い。熱暴走の進捗率が半端ないぞ」


『異常加熱を検知、システムを強制シャットダウンします。危険ですので整備士またはレスキュー隊以外は近寄らないで下さい』


 緋色のOSは再びシャットダウンされた。


「ロボに感情機能を搭載するのは無理があるのか、いや、人型に原子炉を搭載したのが間違いだったか。まだまだ改良の余地はありそうだ」


 ぼそぼそ呟く三谷博士だった。

 

 やはり緋色に恋は難しい。

 しかし、いつかは恋を成就させてやる。

 

 三谷の開発魂に再び火が灯るのであった。



[おしまい]

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竹内緋色に恋は難しい 暗黒星雲 @darknebula

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