第256話 自警団三女初水着
「あれー、もう盛り上がってるの?」
美紀と舞衣が部屋から戻ってきた。その後ろにはガウンに包まれたアイリーンとレイラそしてアイギスが恥ずかしそうに立っている。
「もう着替えたの?」
「ええ、アイリーンさん以外はあまりサイズ調整が必要なかったから」
今回の慰安旅行にあたって美紀の策略により舞衣は三人の水着を用意していた。ただサイズが分からないので似たような体格をしている者をベースに作成していた。
身長の高いアイギスは同じく身長の高い由美をベースに。レイラは梨沙ベース、アイリーンは舞衣ベースで設計してある。
各一着づつ用意していたのだがアイリーンのだけは予想外のサイズでまったく合わなかった。
女子ですらため息がでそうなほど彼女のプロポーションが良く羨ましいがぎりである。だが胸の大きさが想定外で用意していた水着ではカバーできない。仕方なく万が一にと用意していた予備の大き目の水着を手直することとなった。
「へぇー、とりあえず水着はみんなあったんだね」
梨沙の言葉に舞衣は苦笑いで答えた。
「じゃぁ、誰からお披露目いくぅ?」
美紀の言葉に自警団の三人は顔を見合わせる。何分このような水着を着なれていないため、とても恥ずかしい。
ここは上官である者が見本を見せるべきであろうとレイラとアイギスはアイリーンに無言の圧力をかけた。
だが二人からの圧力をアイリーンは手慣れた様子で逆に返しにかかる。
「レイラ、お先にどうぞ」
彼女は自慢の金髪の髪を手でさらりと流して見下ろすような横目でレイラに譲った。優しくは言っているが、鋭い視線は命令である。彼女は立場を利用して反撃にでた。
もともと無礼講のつもりであったが圧力をかけてくるからには上官たるもの屈するわけにはいかない
「い? い、いや私は……」
逆に振られしまったレイラは動揺して焦る。彼女は今回のために持ってきた水着ですら正直なところ恥ずかしかったほどである。
だが今、着ているのはそれとは比べ物にらないほど肌の露出面積は大きい。加えて彼女は自分のプロポーションにあまり自信はない。
舞衣や由美からすれば十分羨ましい体型をしているのだが隣に超絶ボディを持った人物がいては見劣りしてしまう。恥ずかし過ぎてとても勇気が湧かない。
「ここは下の者からってことで……アイギス」
彼女も上官権限で逃げた。アイリーンのときとはは異なり、今度はハッキリと行使したようなものだ。
「あ、アタシからですか!?」
そんなレイラの態度にアイギスはズルいと思った。命令とあらば拒否権のない自警団ではあるが。このような場での権力の行使など拒否しても問題はない。
そう、いつも彼女が上官に接しているのと同じように拒否すれば良かった。だが今の彼女は恥ずかしさでそこまで頭が回らない。
「そ、そうだ上官命令だ」
レイラもそこはわかってて命令を下していた。アイギスに悪いと思いつつ、一番注目を浴びるトップは嫌である。
「ずるいですよ。横暴です」
アイギスにしては珍しく涙目である。彼女にしてみればビキニの水着など裸体をさらしているのと同位であった。彼女達はそこまで恥ずかしいと思いつつも美紀の誘いに乗ったのは高級リゾートのプールと、この水着がかわいくてちょっと着てみたいと好奇心が上回ったからだ。
したがっていずれ脱いで泳ぐつもりはあるのだがトップバッターは恥ずかしすぎる。
「ほらっ」
突如レイラのガウンがはだけて水着姿が露になる。いつの間にかレイラの後ろに回っていたアイリーンが彼女のガウンを脱がせていた。
「ひぃぃぃぃぃぃ」
彼女は悲鳴をあげたが着用している水着はごく一般的なお腹のでているホルターネックのビキニである。ただ大人向けと美紀がデザインしたわりには腰周りに所々ついている小さなフリルが少々若人向けではある。
この水着に元々フリルはついていなかったのだが、恥ずかしいから付けてくれとの彼女の要望でつけた。だがそれでもまだ恥ずかしいからと下には別柄となるがパレオを着用していた。
レイラは慌てて左手で胸を隠し、右手で下を隠した。恥ずかしくて太ももを閉じてモジモジとするその姿は逆に見ているほうが恥ずかしくなりそうである。
いつもクールで勇ましい彼女ではあるが今の彼女はまさしくオンナであった。その普段ではお目にかけることのない仕草に龍児と颯太の興奮が止まない。
「な、何をするのですか!?」
「いつまでも恥ずかしがっていては泳げなくてよ」
アイリーンは自らガウンを脱いだ。
既婚者としての余裕なのか彼女は三角ビキニという大胆さで男を挑発しているとしか思えないような姿だった。豊満な胸のラインが見事な曲線を描いている。
彼女はレイラとはまた異なる大人の色気を漂わせた。ほどよい肉付き、安産を保証できる腰づき、そして男ならだれでも埋もれてみたいと思わせるような放漫な胸は見るものを狂わせる。
「ちくしょう……だんなが羨ましいぜ……」
颯太と龍児は彼女の見事なプロポーションに喉を鳴らし、水中で前屈みにならざるを得なかった。
「はぁー、主人以外にこんな姿を若い男に見られるなんて……ガン見したら引っこ抜くわよ」
彼女はさらっと怖いことを言う。龍児達は「すんません」と謝ると後ろを向いた。そのお掛けでアイギスは辱しめを受けずガウンを脱ぐことができた。
彼女はビキニタイプが恥ずかしかったのか由美のモノキニ水着を着用していた。前からはワンピース水着のように
アイリーンたちがプールの水の中へとその長い足を滑らせる。ひんやりと冷たい水にぶるっと体を震わせて一気に全身まで浸かった。
「コレいいわね。いつもの水着なら衣類がべちゃつくけど泳ぎやすそうだわ」
アイリーンは大層水着が気に入ったのか、早速プールを泳ぎだした。
「本当ですね。ベタつかないから気持ちいいですね」
アイギスも同じ感想を抱いた。これならプール上がりでもあの独特の水に濡れて服が重い感覚もないだろう。
「でしょでしょ、いいでしょ。デザインもかわいいし」
美紀はさらっと自分のデザインを誉めてくれとアピールしていた。
◇◇◇◇◇
時は経ち、そろそろ日が傾き始めたのでアイリーンたち自分達のホテルへと帰ることにした。葵や龍児も自分達のホテルへと戻ってゆく。
刀夜から泊まって良いと言われていたが今夜は自警団の宴会があるので断った。後で由美から聞かされたがホテルの大部屋を借りてどんちゃん騒ぎをしたが、危うく葵が酒に手をだしそうになり、慌てて皆で止めたらしい。
そして龍児達が帰った頃に刀夜が帰ってくる。いつものポーカーフェイスだが、心なしか機嫌が良いようだ。
刀夜達はプールサイドでランタンの明かりの元、海鮮バーベキューを楽しむ。その際に今日アリスに会ったことと明日拓真がくることを皆に伝えると場は一気に盛り上がった。
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