第137話 囚われのリリア
リリアは思わず両手で胸を隠すが男たちの視線は下に釘付けだ。
男たちが包囲網をゆっくりと詰めてくるのを見回して確認する。森とは逆の街道方向が手薄だと彼女は思った。
街道に戻ってしまうが一か八かリリアは突破しようと走り出す。だが彼女が振り向いた瞬間、一人の男に背後から抱きつかれると前へと倒れてしまう。
「痛ッ!」
抱きついた男はすかさずリリアを仰向けにしてマウントを取ってくる。手慣れた手つきでリリアの両腕を足の膝で押しつけ彼女の自由を奪った。
興奮に満ちた男の手がリリアのインナー越しにお腹を触った。手の平で肉付きを確かめながら徐々に上へと擦り上げてくる。
「うぐぅぅ……」
「いや、やめて!」
そのような言葉で止めるはずもなし。悲しみが染み込んだ空しい声がまだ成熟していない体からこぼれる。
のしかかっているゴロツキはリリアの残っていたインナーを首元から強引に引きちぎった。リリアが泣き喚くと無理やり手で口を押さえ込まれる。
「うるせぇんだよ」
そして残った手で残った衣服をすべて剥ぎ取られて生まれたままの姿を晒される。まだ誰にも見せたことのないすべてを、吐き気を催しそうな男どもに見られた。
リリアは小動物のように小刻みに震えて泣いた。
『リリアにだっていつか必ず好きな人は現れるよ』
このような状況なのに姉の言葉を思い出した。一度でもいい、姉のように燃えるような恋をしてみたい。特別な『好き』というものがなんなのか知りたかった。
『もう、そんな人できないよ! あたし汚される。汚された! 助けて! お姉ちゃん――』
リリアは必死に姉に助けを求める。
「こいつ処女かなぁー」
リリアの回りを囲んでいるゴロツキの一人がぼそりと訪ねる。
「そんなの、ぶち込んでみりゃ分かるってよ!」
リリアに乗っかっている男が興奮しながらズボンを脱ごうとする。それも目の前で。おぞましい光景にリリアは目をつぶり顔を背けた。
もうダメだと……
だが上に乗っている男の動きが急に止まり、止まったまま動こうとしない。恐る恐る目を開けると、ゴロツキの背後から黒づくめの男がサーベルの刃をゴロツキの首に向けていた。
「おい女。お前、処女か?」
とんでもないことを聞いてくる。処女なら助けてくれるのだろうか……リリアはそんな期待を込めて涙目で頷いた。
「おい、どけ」
「えー、でもよぉ――」
男が口答えをした瞬間、サーベルが男の頬から耳にかけて切り裂いた。軽く鮮血が飛び散ると地面の草に付着する。
ゴロツキどものリーダーである黒づくめの男の命令は絶対なのである。
「ギャアーーーーーーッ!」
切り裂かれた男は驚き、リリアから飛び除くと地面に倒れ込む。傷の割には大袈裟に叫んで傷口を手で押さえながら地面の上を転び回っていた。
「初物はそれはそれで好きな客がいるんだ。売りモンに傷をつけるんじゃねぇ」
黒づくめの男の言葉にリリアは気が遠くなりそうな目眩を感じた。自分なんとバカな期待をしたのかと、所詮この男どもは同じムジナなのに。
だが奴隷だけは嫌だ。性奴隷などにされたら、子供の生めない体にされた挙げ句、最後は地獄のような運命が待っている。
リリアは這いつくばって逃げようとするが逃げられるはずもなく、力のかぎり暴れるが所存は無駄であった。周りにいた男どもに取り押さえられ成す術もなく連行される。
要塞のような馬車に連れてゆかれ、無理やり放りこまれた。馬車の中は薄暗く、拷問器具のような見るからにおぞましいものが陳列している。
まるでモノクロのような世界に上半身裸の男が
男はその炭に差し込まれていた鉄棒を取り出した。尖端がオレンジ色に輝く。
「そろそろ、いい塩梅だがや」
焼けた鉄棒を見つめて男はうっとりとしている。
刻印だ。あれを刻まれたらもう最後だ。
リリアの背筋に戦慄が走る。
「い、いや! やめてぇ!」
暴れるリリアにゴロツキの男が両脇から押さえられる。そして刻印を持つ男の前へズルズルと引きずられると抵抗できないよう羽交い締めにされた。
そのとき馬車の奥の扉が音を立てて開くと身長の低い男と先程の黒づくめの男が出てくる。背の低い男はまるでサーカスの司会者のような赤い派手な燕尾服を来ている。W字に横に伸び尖った髭を自慢そうに触っていた。
「この女か」
「そうでさぁ団長」
この奴隷馬車の一団の長だ。
団長はリリアの前に寄ると
恐怖に押し潰されそうなリリアは
「お、お願いです。た、た、助けてぐだざい……ゆるじて……」
しゃくり声で許しを乞うが団長は意にも介さない。そのような言葉などもう聞き飽きている。団長はリリアの言葉など無視して話を進める。
「中々の顔立ちではないか、これは値がつきそうだな……」
団長はリリアの身体中を触りまくり、肌の状態確かめる。
「ヒィッ!」
まだ男を知らぬ大事な所まで手がまわる。
「処女か、あのかたが好みそうじゃな」
「では……」
「……やれ」
無慈悲な言葉を交わしている。ゴロツキがリリアの左腕を無理やり引っ張り、刻印を
「いやぁぁッ、お願いします! 何でもします! 何でもしますから、それだけは、それだけは許してぇ!」
リリアは死に物狂いで抵抗を試みるが空しくも、その万力のような機械に左腕を挟まれる。ネジのようなものが巻かれると腕が圧迫されて抜けなくなった。
這いつくばって左腕だけ伸ばしたような状態だ。恐怖に怯えるリリアの目にオレンジ色に焼けた刻印の鉄棒が映る。
「や、や、やめて……お願いします……なんでもしますから……」
ボロボロと次か次へと涙が止まらなくなる。だが周りの男たちの顔をみて絶望するしかなかった。舌を
「んーッ、んんーッ」
目の前をぶらぶらと焼けた刻印を見せつけられた。
首を振り嫌だと
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