罰を受けるのは誰か。
慣れた綱渡りも、続けていればいつか縄から落ちる。その場合大怪我をするのは、私よりもむしろ烏兎の方である可能性が高いだろう。
緋奈がそんな想いから明け方の逢瀬を絶ち、三日目の朝のことであった。
「お嬢様、いよいよ今夜だそうですよ。ここの所お天気も良いから、きっとよく燃えますわね」
緋奈が血相を変えて問い詰めれば、母である咲耶の呼びかけで、有志による山焼きが決行されるとのことであった。何でも魑魅魍魎の
「何よそれ。山焼きじゃなくて、山狩りじゃないっ」
慌ただしく屋敷中を駆け回り、緋奈は夜白の姿を探した。彼が母に告げ口をしたなどとは考えたくもなかったが、それ以外に思い当たる
「ううん、違う……。きっと最初から」
思い当たってしまった。左脚の擦り傷を、
母の恐ろしさを、緋奈は見誤っていたのだ。
「緋奈、騒がしくてよ。品性に欠ける行動は
冷たい
「お母様、私からお願い申し上げます。どうか、山焼きを中止してください」
畳の上に膝を折って、緋奈は長々と平伏した。余計な言葉の一つもなく罪を認め、その
だが。
「
土下座する娘の言葉に、耳を貸す母ではなかった。情に
「
頭を畳に付けたままで、緋奈は泣き崩れた。取り返しのつかないことをしてしまったのだと心の底から悔いたが、過ぎた時間は誰にも巻き戻せない。
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