第4話 オンライン百科事典 :カリヤ・バンパ

カリヤ・バンパ(狩屋・――)とは、神話時代の人物である。

諡号は「偉大なる守護者」。人類史上初めて複数の土地を管理したとされる人物であり、時に「最初の王」とも称される。

本稿では便宜上、バンパを王として扱う。


時代   神話時代

在位期間 不明~神託45年ごろ?

先代   なし

次代   ダイチ

生没年  不明~神託79年ごろ?


目次

1.概要

2.名前

3.伝承

4.系譜


◆概要

カリヤ・バンパは、伝承や伝説の形で現代まで名前を遺す神話時代の人物の一人。

預言者ギーロや預言を継ぐ者ソラルなどの同時代の著名人と同じく、後世の書物に実在の人物として多くの記述がある人物であり、その実在の確実性から神として扱われることが少なかったと言われる。


多くの伝承で特に腕力と統率力に優れた人物として描かれており、各地に散っていた人々の群れを統合してまとめ上げ、その後の支配者としてのエルフの立場を確立させた人物とされる。

そうした活躍からか、死に際して「偉大なる守護者」の諡号を贈られたという。現代では、他の同時代人と同じくその諡号と共に名を表すことが一般的である(後述の理由のため、他の同時代人より諡号を併記される場合が多い)。

なお、彼を表すモチーフは漆黒の丸太である。かつては絵画において、現代ではゲームや漫画などで普遍的に見られるモチーフである。


この他特筆すべき点としては、バンパが預言者ギーロの実兄であるという点が挙げられる。

同時にギーロが行う様々な事業の最大の支援者であり、ギーロが短期間で文明を発展させ得たのはバンパの存在があったからとされている。

現代では文明の基礎を築き上げたギーロが前面に押し出されることが多いが、むしろギーロが積極的にバンパを頼るエピソードのほうが多い。

互いに子供を預けて夫婦の時間を確保するエピソードや、力を合わせて苦難を乗り越えるエピソードも遺されており、兄弟仲は極めて良好であったようだ。


なお少数派の宗教などでは天空神という形で、主神として扱われることが多い。

同時に、守るために戦う守護神、いさかいを取り持つ調停神、悪行を戒める正義神でもある。

その姿は、太陽と月を含めたすべての天体をその腕の中に抱く巨神として描かれる。


◆名前

家名である「カリヤ」は、神語および日本語で「狩りをする家」という意味であり、命名は弟の預言者ギーロによるとされる。

伝承ではバンパは当時最も狩りを得意とした人物とされており、それにちなんだと言われている。


また、「バンパ」は原初エルフ語Aにおいて「大きい」の意味であり、男としても他より抜きんでた体格の持ち主だったと言われている。

バンパの名はその後、古代中期には王を意味する称号となり、古代後期から古典時代までの間に、人類の生息域拡大と共に各地のエルフに組み込まれていった。

現代でも天上エルフ諸語にその名を残しており、天上世界では「バンパ」は神語および日本語の「天皇」に相当する単語として扱われている。

神話時代の人物を示す際には諡号と併記する、という暗黙の了解が生まれたのは、バンパの名前をそれのみで表記した場合にややこしいから、とも言われている。


◆伝承

弟のギーロが神々からあらゆる知識と知恵を預かった時、その真偽を真っ先に信じたのはバンパであったという。

当時の常識で言えば絶対にありえない知識を聞いても、それを否定したり切り捨てることはなかったという。むしろどんなものができるのか、できたもので何ができるのか、それがどういう影響を及ぼすのか、などを的確に見抜き、できるのであればとギーロを妨げず支援したとされる。

当時、既に群れにおいて重要な立場にあったバンパがギーロを援けたことで、ギーロは文明を発展させる足掛かりを得たと言われている。

絵画などでバンパのモチーフとして描かれる漆黒の丸太は、この時ギーロが感謝の証としてバンパに贈ったものとされる。

この丸太は、人食い虎退治などバンパが「守る」ために戦うエピソードでたびたび活躍することになる。


また、つがいの狼を使役して、世界中の情報を収集していたとも言われている。

それによって獲物の位置を把握し、常に群れのために食料を確実に手に入れていたという。

そのためか、狩りにおける失敗のエピソードは現代には伝わっていない(失敗談があえて伝承から省かれた可能性もある)。


これに関連して、この世のすべての生き物と言葉を交わせたと言われている。

群れにフィエン、プラエドワーフが合流して以降、言葉や習慣の違いからいさかいが絶えなかったが、バンパだけは彼らと最初から滞りなく言葉を交わし、交流を深めたという。

その際にも新参者であろうと軽く扱うことはなく、尊重すべきところは尊重し、罰するべきところは罰するなど公平に扱ったため、やがてフィエンもプラエドワーフもみな彼に心服した。

バンパはその徳と人望で群れを増やし、多くの集落を建設して人類を発展させたという。


この手のエピソードは、細かい内容の差を抜きにして数えると相当数が現代まで伝わっている。

バンパが後世において最初の王と称されるのは、こうしたカリスマ性をうかがわせるエピソードが特に多いからである。


また、バンパが信頼を集めていたのは指導者としてのふるまいだけが理由ではない。

戦士としても極めて優れた人物であったようで、群れを率いて常に狩りの戦闘に立っていたとされる。

そのため、さすがのバンパも常に無傷ではいられなかったようだが、一日も経てばすべて治っていたという。

あらゆる危機を乗り越え、すぐに復帰する姿は神がかったものとして群れの全員から絶大な信頼を受けていた。

このエピソードは、神話時代のエルフが現代のような超治癒能力を持っていなかったことを示す傍証として有名である。


◆系譜

バンパはサテラという名の女性を生涯ただ一人の伴侶としたとされる。その間に六男五女をもうけたという。

長男であるダイチは彼の後を継ぎ、皇祖チハルを伴侶とした。

このため、現代まで伝わる皇統はバンパの子孫とも言える。

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