第2話 歴史
図書館に通うようになった理由だが。由美ちゃんが授業で使っている歴史の教科書を見た時だ。
「何これ?俺が習ったのと違い過ぎている」
というのが、理由だ。
ネットだけでは限界がある。
ウソはつけないし、恥はかきたくない。
「足利尊氏?だれこれ?」
「武田信玄?何者?」
「西郷隆盛?別人だ」
まあ、西郷隆盛が銅像や肖像画と違うのは、
僕が現役の頃から、言われていたが、それでも違いすぎる。
世界史のベルリンの壁崩壊や、東西ドイツ統一は、
リアルタイムで見ていたので、どうにかなる。
でも、日本史が変わり過ぎだ。
こう、ころころ変わっていては、おっつかない!
「ねえ、お兄ちゃん?」
「どうした?由美」
「龍馬って、誰に殺されたの?」
これに関しても、あやふやだ。
僕が習った当時は、確か「暗殺にあった」としか、書かれていなかった。
でも今は、諸説がもりこまれているらしい。
龍馬には興味があるので、以前から調べているが、仮説の部分も多い。
見周り組が犯人とされているが、奴らが独断で犯行をしてのは、考えにくい。
黒幕がいるはずだ。
由美は、その黒幕を知りたいのだろう。
社会は基本暗記なので、教科書を覚えれば、それなりの点は取れる。
それでは、意味がない。
なので、教科書に載っていない、わきの部分を調べる事にした。
「お兄ちゃん」
「どうした?由美」
「オットセイ将軍って誰?」
「徳川11代将軍、徳川家斉のことだよ」
「あの時代の日本人って、オットセイの事知ってたの?」
「みたいだね」
「どうして、そう呼ばれているの?」
返答に困った。
由美は女子高生。なので、本当の事を教えても問題はない。
いや、むしろ知っておくべきだ。
でも、変な方向に走っても困る。
とりあえず、「家斉は、今でいうプレイボーイでみさかいがなかった」
それだけ言っておいた。
歴史好きがいうのもなんだが、昔の事なので、そっとしておいたほうがいいかもしれない。
過去は変えられないのだから・・・
謎は謎のまま、置いておいたほうが、幸せかもしれない。
歴史の話は、世代により食い違うというのを、学んだ。
食い違い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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