第4話
「あ…あの、そ…捜査一課の…その、森本さんはいらっしゃいますか?」クリーニング店の娘、木村 久美からの電話を受け、森本は賭けに勝った事を確信した。森本は小さく
香川を引き連れ川田駅を降りた森本は、真っ直ぐに木村宅を訪れた。家に着くとニ人はニ階の家族が
「私…あの男に…あの男に…ウウッ」久美は
「木村さん、無理はしなくても大丈夫です。ゆっくりで、ゆっくりで良いんで気が落ち着いたら話して下さい」この森本の気遣いある言葉で、久美は落ち着きを取り戻し呼吸を整え深呼吸をした後、お茶を一口含み、再び喋り出した。
「フーッ、スミマセン、私、あの男にレイプされたんです」久美の言葉に森本と香川はお互いの顔を見合わせた。
「今からニ年前の春頃だったと思います。その日は大学のサークルの集まりで帰りが遅くなりました。皆んなにはもう少しいて、帰りにタクシーを乗り合わせて帰ろうと言われたんですが、私は終電に間に合うからと言って、電車で帰ったんです。それが悪かったんですね。あの男は私と同じ電車に乗っていて、帰りに後を着けられました。小走りに帰ろうとしたんですが、ヒールを
「木村さん、もう良いです。分かりましたから。スミマセン、辛い事を思い出させてしまって」森本は深々と頭を下げた。
「警察には言おうと思わなかったんですか?」若い香川が口を挟んだ。
「おい、彼女の気持ちを考え…」森本が部下をたしなめ様としたが久美は「良いです」と言って続けた。
「正直、早く忘れたかった。あれからは怖くて外出もままなりません。でも男が死んだと聞いて、私はその殺した人に感謝してます」
森本にも高校生になる娘がいた。それだけに久美の話しは胸を
「今日は本当にありがとうございました」ニ人して頭を下げると駅に向かって歩き出した。
「栗さんに感謝か…なんか凄い話しでしたね。これで栗さんが殺害した理由が少し見えて来ましたね」部下の"栗さん"の言葉に突っ込む事無く森本も同意した。
「あぁ、あの正義感の強い栗さんの事だ。その辺の事件と関わっているのかも知れない。
しかし、まだ解明しなければならない謎は
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