第4話 にんげんふしん

翌日になり家に帰ることになった

車椅子での生活が始まる


急に身体が不自由になるのは想像していたよりも苦痛で、どんなことでも祖母を頼るしかなかった

義手や義足も自分に合った物を作り、病院でトレーニングを行ってはいるが、すぐにはうまく行かず、ステラにはイライラが募っていた


祖母もいつもは明るく元気だったステラが荒んでいく姿に心を痛めていたがどうすることもできなかった


「...くそっ...上手くいかない...」

義足をつけての歩行はそこまで苦労はしなかったが問題は義手だった

物を掴むことが出来ない不自由さが苦痛だった

今まで出来ていたからこそ、その不自由さがもっと苦痛に変わってしまっていた


「掴むこともできないし、事件の真相もわからない...どうすればいいんだ....」


ふとテレビから流れるニュースに目が留まった

(昨日18時45分頃、コンビニでの強盗事件が発生しました。警察によりますと、強盗の犯人らしき姿はなく、黒い靄のようなものが浮いていたそうです。店内にいた店員38歳男性と客の43歳女性二人が意識不明の重体です。この事件の....)

「....すぐ近くのコンビニだ」


「靄がレジの金を盗んでいったのか。俺の手足も盗んだのかな...ははっ」

(黒い靄ってなんだよそれ...)

思わず口に出てしまったが、かなり近所の事件だ

「今はあまり出歩かないようにばあちゃんに言っとかないとな」


ここらの治安は数年前あたりから急に悪くなり始めていた

強盗、殺人、恐喝、暴力等があちらこちらで見られる町になっていて

警察の数も他の町とは比べられないほど多い


その中でもステラが住んでいる高天地区は何もない唯一の地区だったがこのニュースでそれも終わってしまった


「ステラ何か食べるかい?」

祖母が聞いてきた


「あんまお腹空いてないから大丈夫だよ、それより近くで強盗事件があったみたいだから出歩かないほうがいいかも」

「ここらで?珍しいねぇそんな悪いことなんて一度もなかったってのに」

「そうだね」


よく考えれば昨日の爆発事件も今日の強盗事件も立て続けに事件が起こっている

「小さい町だし本当に珍しい...]

(何か関係があるのかもしれないな...場所だけで考えれば....どんどん家に近づいてきてる?)










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The truth in a moon(仮) a @rom603

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