第4話 資料
○月○日。
ある病院にてとある男性が院内にあった消火器で看護師や医師、又は複数の患者を殴打する事件が起こった。被害者は百人以上に及ぶと思われており、警察が捜査を行なっているとの事。
今現在分かっているこの事件の死亡者は二十人を超え、まだ増えると思われる。
犯人である男性とは会話が成立しないようで訳も分からないことを叫んでいることもあることから薬物の疑いもありそちらの検査も行われる予定になっているとのこと。
同日に起こったバス内で起こった傷害事件にも関わっていると思われ、そちらも含めて捜査が行われるとの事。
近隣住民からの話では誠実でそのような事件を起こすようには思えないとのことからやはり薬物の使用の疑いが濃厚なようだ。
△月△日。
薬物検査は陰性との結果。
事件の死亡者は30名にも登り、意識不明で重体の被害者もおり死亡者が増える可能性がある。
検診の結果、加害者の男性の眼球に傷があることが判明。事件との繋がりがあるか分からないがその件も踏まえて捜査を継続との事。
○月□日。
捜査の結果、驚くべき仮説が上がる。
加害者の眼球に傷が入ったことにより視神経に障害が起こり複雑な処理を行う脳が誤った処理をしている可能性があるとの事。
そのことにより加害者は自己に深い暗示をかけていると思われる。
今後、詳しい検査が行われることとなるはずだ。
△月○日。
「影の住人は私を手術台と思われる物に体を固定すると錆び付いた注射器で濁った下水に似た液体を私の体に投与すると人の言語とは思えない言葉で右の眼球を弄り回した。
その行為は背筋に冷たい筋が走ると同時に胃の中の内容物が込み上げてくるほど気持ち悪かった。全身から拒絶反応が起こり、濁った液体のせいでか動かない体は何度もその気持ち悪さから逃げようと痙攣を起こす。
奴らは私の眼球を弄るのが楽しく味を占めたのか私がその苦痛で意識か薄れ始めたぐらいに私の眼球を弄んだ。
眼球を弄られてからどれぐらいだったのか……。最近では実体験かのようなリアルな眼球を弄る夢すら見るようになり始めた。
私はこの苦痛を味わい続けるぐらいならば……。」
自身の舌を噛み切ると舌から滴る血液で壁一面にこのメモを残して加害者は自害した。
加害者が見ていた世界とは…。
この奇怪な行動で加害者が訴えたかったことは…。
この事件の謎は永遠に謎に包まれるであろう。
被害者並びに被害者家族の無念が悔やまれる。
眼球 真白世界 @shino69
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