タイトルの「鐡翼」とは、作中に登場する飛行兵器のこと。
わたしたちの世界で言うところの戦闘機でしょうか。そんな飛行兵器を駆る女性・アイシャの生き様を通して、人間と争いとの関係性を克明に描き出さんとする意欲的なファンタジー小説です。
禁断の力「龍」によって人の営みを破壊するのも人間なら、鐡翼を飛ばして龍を墜とすのもまた人間。絶えない争乱が人に歪みをもたらし、しかし人はそこから逃れられない。
それはまるで、わたしたちの世界のお話を聞いているようです。
争いを求める、人間の心の中に棲む「龍」。
生きている限りその束縛から抜け出すことはできないのか。
死ぬことだけが解放される道なのか。
アイシャがどのような答えを導くのかに注目せずにはいられません。