散骨アイス
豊口栄志
【散骨アイス】
新型の爆弾が炸裂して都市がひとつ消えた。戦争は終わったけれど街はまだ瓦礫の山だ。
火葬場にはひっきりなしに遺体が運び込まれて、棺桶が順番待ちの列をなしている。
夏の盛りに、僕は骨壷を抱えたまま街をさまよう。探しているのだ。遺灰を撒く場所を。ここ何日も。
景色のいいところに散骨してあげたい。できれば身近なところがいい。
すれ違う人たちは大人も子供も夏の熱気に当てられたように、いかにもエネルギッシュに生きている。みんな精一杯に生きている。気付いているんだ。自分がいつ死ぬか分からないって。
バスに揺られて街を巡る。バスは更地になった爆心地を避けて、ドーナツ状のルートを走る。
そうだ。爆心地は何もかも無くなっていて――本当に、建物の残骸も人間の死体も跡形なく消えてしまっていた。
生き残った人たちは、死体が残っただけ幸運だったと僕に言う。
それは本当にそうなんだろう。僕は不幸のドブ泥の中で砂粒ほどの幸運を掴めたのだろう。
骨壷を抱いて目を向けた窓の外には、火葬場の煙突から昇る白い煙が抜けるような夏空にすーっとまっすぐに伸びている。
痛くも痒くもない景色だ。遺灰を撒くには相応しくない。
その煙をじっと見ているうちに、うつらうつらと眠気を誘われる。
バスがトンネルに入って景色が途切れ、辺りは真っ暗になった……。
気が付いてまぶたを開けたときには、バスは停車場に着いたところだった。
うたた寝していたことを悟って慌てて腕の中を確かめると、骨壷はきちんとそこに収まっていた。
バスを降りると市場に出た。もう昼を過ぎているおかげで、日曜市の活気も名残りが漂うだけだ。
果たして今日は日曜日だっただろうか。このところは曜日の感覚もあやふやでいる。
買い物を済ませて長話に花を咲かせる井戸端の女たちを横目に通り過ぎる。
不意にその向こうから視線を感じて振り返る。
からっぽの屋台の隙間をスルスルと抜けて、ひとりの娘が僕に近寄ってきた。
長い銀髪と白いワンピースの裾をなびかせて懐に入り込んできた彼女は、僕の顔を無遠慮に覗き込んでおずおずと口を開いた。
「あの……」
「はい」
「もしかして外から来た人?」
「いや、地元のものだよ。このあたりはたまにしか来ないけど」
「そう」
彼女はほっと胸を撫で下ろし、満足げに笑みを浮かべた。
「あなたを、待ってた。これから案内するから。ついてきて」
どこへ? と尋ねる間もなく、彼女は颯爽と歩き出していた。
メル・アイヴィーと名乗ったその娘は、僕を従えて市場を抜け出す。
片手に革の
彼女の足は公園のほうへと向かっていく。
商店の前の並木道。買い物カートを押すマダム。自転車をかっ飛ばす少年たち。グラウンドのバックネット。――見覚えのある街並みが僕の視界を横切って過ぎる。
「僕はここに、来たことがある。なんの用事か忘れたけれど。確かに」
「一番最後に来たのはいつのこと? 覚えているの?」
いつの間にか後ろを振り返ったメルが僕のことをじっとりと射すくめる目で見ていた。
背中に冷たいものが走った。
それは彼女の視線のせいだけではない。
「そうだ……」
僕は気付いたんだ。
近頃このあたりに足を運んだ覚えがないのは当然のことだった。
市場も、公園も――このあたり一帯は、もうこの世にあるはずがないのだ。
「ここは……爆心地じゃないか……」
全て跡形なく消し飛んだ。そのはずだ。
メルはコクリと首肯する。
「ええ。そのとおり」
「それじゃあここはあの世なのか? 死後の世界だとでも言うのか」
「いいえ。いいえ」
首を振り、彼女は空を指差した。
見上げた空をぐるりと見渡してみて、その違和に顔が引きつる。
青いはずの空の色が、薄く緑がかって光っていた。
「グリーンフラッシュ? いや、あれは夕陽の色か」
「赤方偏移現象」
メルが言った。
「あれは遠ざかる光の色。空の光がこの世界から出られずに、世界の果てでわだかまっているの」
「何を言ってるんだ」
「ここは死後の世界じゃないの。みんな死んでないし、生きてもいない。死ねないまま停まってる」
メルは空を指差していた指先を地面に差し向けた。
「ここは“時間の停まった世界”」
頭の中の僕は『そんなはずはない』と繰り返している。
夏の陽射しは肌を灼き、風は汗ばんだ頬を撫でる。公園では子供たちの嬌声が響いて、少し離れたところではゴムタイヤのニチャつく自動車の走行音が途切れ途切れに続いている。
人の営みがそこにはあって、誰も停まっていやしない。
動かないものは僕の腕の中の骨壷くらいだ。
「時間が停まるっていうのは、写真みたいに時間を切り取ることとは違う。状態を固定するということ」
メルはそう言って、公園の中を歩いていく。
芝生の青い草いきれが胸を満たす。自分の吐く息が生暖かい。
「喉が渇いたなら、あれを買ってみて」
メルが視線を向けたのは、子供がふたりきりで飲み物を提供しているレモネードスタンドだった。
「懐かしいな。子供の頃、僕もやったよ」
骨壷を抱く。幼い日。僕とあいつでレモネードを売った。
小遣いを稼いで、ふたりで花火を見に行きたかったから。
夏空の下、道端にテーブルを出して、通り過ぎる人たちに呼びかけるんだ。
「いらっしゃいませ。レモネードはいかがですか」
「二杯もらえるかな。僕と彼女の分を」
テーブルの上にレモネードの代金を置くと、店主の子供たちは訝しげにコインを見下ろして触ろうともしない。その視線が僕を見上げた。
「これ、使えないお金です」
「え?」
「あなたのお金は外の物だから、この世界とは交われない。エネルギーの総量が変化するのは世界の法則に逆らうことになる」
メルが僕の横に並び立って子供たちとの仲立ちをする。
「代わりにこれと引き換えにごちそうしてもらえる?」
彼女は旅行鞄を細く開けて、中から花の刺繍が入ったハンカチを取り出してテーブルの上に広げる。
それから同じように鞄から何かをわしづかみにして、ハンカチの上にどっさり載せた。
それはクリームサンドビスケットだった。何の包みにも入っていないお菓子だ。ビスケットは一枚として割れても欠けてもいない。
山盛りのクリームサンドビスケットを見て、子供たちは僕らにレモネードを注いでくれた。それでピッチャーが空になる。
すぐにクピクピとグラスの液体に口をつける。爽やかな酸味と甘ったるい砂糖の味が舌に絡みつく。ハチミツを垂らしているおかげで舌先がずっと甘い。ピッチャーの底のほうにあったせいだろう。もう少し薄めたほうが僕の好みだ。あいつが飲んだら、余計に喉が渇くとぶーたれたことだろう。
骨壷を抱き直してメルを顧みる。
「君はその鞄に何を入れてるんだ」
「わたしの全て」
即答して、飲み干したレモネードのグラスを返却する。
ごちそうさま、と言い残して彼女はレモネードスタンドを立ち去る。僕を置き去りにして。
「おい待てよ。あーもう!」
レモネードを急いであおって彼女の後を追った。
「君はなんなんだ。何のために僕を連れ回す」
「もう一度あの人に会うため。そのためにあなたを待っていたの」
そう言ってメルは足を止めた。
「ねえ、振り向いてレモネードのボトルを見て」
「え?」
訳も分からず言われるままにレモネードスタンドに再び向き直る。
「見える? レモネードの量が減っていないでしょう」
「さっき空になったばかりだろう?」
目を細めて注視すれば、確かにレモネードはピッチャーの底に溜まった分しか残っていない。
「これが時間が停まるということ。状態は膠着して、世界が変化を受け容れないの。少しは理解できた?」
「そんなバカな。確かにレモネードは飲んだだろう。味だってした」
「今もその味は思い出せる?」
「いや、それは……」
甘ったるい味だった。舌にまとわりつく味だった。そのはずなのに、もう記憶の中にしか――いや、記憶でさえおぼろげだ。
「なんだ……これは……」
「あの子供たちはずっとレモネードを売っているし、市場のおばさんは世間話を続けている。何も始まらないし、何も終わらない。今という状態が動かないように固定されている」
「そういう、こと……なのか……。仕組みは分からないけれど」
「この世界から抜け出すために、あなたが必要なの。協力してほしい」
「分かったよ。君もこの世界に迷い込んだのか」
メルは曖昧に笑ってまた僕の前を歩き出した。
公園を出ると目の前に教会が建っている。
この近隣でもわりあい大きな寺院で、観光客も訪ねるような荘厳な礼拝堂がある。
いや、あったのだ。爆弾が炸裂するまでは。この街に。
メル・アイヴィーは礼拝堂の重い扉を開けて入り口をくぐる。
後に続いて中に入ると、ひんやりとした空気が身体を包んだ。
眩しい外界とは違って、明かりは窓から射し込む自然光だけで、屋内は涼しく仄明るい。
メルは整然と並んだ長椅子を無視して部屋の隅に設えた箱型の個室に向かう。あれは懺悔室だ。人が罪を告解する部屋だ。
彼女は部屋の入り口に掛かるカーテンを開く。罪を抱えた者が腰を据えるべき椅子の上に何かが見えた。四角四面の金属質の箱。機械のように見えた。
メルが僕を手招きする。
「見て」
「なんだい、これは」
「これが新型の爆弾」
懺悔室の機械は天板に赤いダイオードのランプが灯っている以外は、何も駆動していないように見えた。じっと黙ってそこにあった。
「この爆弾で世界の時間が停まったの」
「爆弾のせいで、どうしてそんなことになったんだ?」
「これは爆発を生み出す装置じゃないの。ある物質を加速させて衝突させる装置」
メルは床に膝をついて横倒しにした旅行鞄を開ける。
剥き出しになった中にはみっしりと機械が詰まっていた。蛇腹状の金属パイプが円環をなして鞄の内を這い、白い霜が降りたブロック状の小箱が隙間なく詰め込まれている。ビスケットを差し込む隙間なんて見当たらないほど。
「タキオン粒子とかエキゾチック
「穴……黒い穴か!」
爆弾が炸裂した日、爆心地を見下ろす場所にいた者は、そこに巨大な黒い穴が開くのを目撃したらしい。
「そう。多次元から引き込んだエネルギーが収束して一瞬にして重力崩壊を起こし、空間に黒い穴を穿つ。光すら出て来られない重力の檻の底では、時間が停止する」
「それがこの時間の停まった世界か。だから空があんな色に……」
「ただ彼らの計画の中にはひとつの誤算があった」
メルは鞄の蓋を閉じる。
「時間が停まったせいで、爆弾の反応も途中で停まってしまったの。本当なら黒い穴に呑まれて何もかも消えるはずだったのに」
「なぜ君がそんなことを知っている。君がこの兵器を生み出したのか」
「いいえ。わたしは起爆スイッチを押しただけ」
「自分が巻き込まれるのが分かっていて押したのか!」
「ええ」
「どうしてそんな」
「言ったでしょう。全てはあの人に会うために必要だったの」
メルは再び鞄を細く開けて、また中から物を取り出した。
それはアイスクリームだった。コーンの上に茶色と淡い緑のアイスが重なって乗っている。
「チョコレートとペパーミントの
「一体何の話をしてるんだよ」
はい、と差し出されたアイスクリームを、僕は勧められるままに受け取ってしまう。
「方法論の話。あの人に会うためには決まった手順を踏まなくてはいけないから。アイスは食べてもらって構わない」
言われて口をつけたアイスクリームは当然のように冷たかった。ただの革の旅行鞄に入っていたはずなのに。
「このアイスクリームも、さっきの機械も、公園のビスケットも……あれはなんなんだ。その鞄に何が入ってるっていうんだ」
「それもさっき言ったでしょう。わたしの全てが入っているの。この中身がわたしの全て」
「方法論とやらに関係があるのか」
メルは頷き返して説明をする。
「人間は現在という時間の切り口でしか世界を観測できない。それは現在という時間が存在しているのではなく、未来と過去が接している境界面でしかないの。そのアイスで例えるなら、人間は世界をチョコミントとしか捉えられないということ」
彼女の指先がミントとチョコの触れ合うところを指差した。
「時間の停止した世界は、チョコからもミントからも影響を受けず、性質を変えない。翻って言えば、この世界を脱出できるなら、チョコの時空にもミントの時空にも遷移できるということ」
「時間を移動しようっていうのか!」
「飲み込みが早いね。あなたはこの時間の停止した世界から見て、相対的な未来からやって来た。だからあなたがこの世界を立ち去るとき、その反動を利用してわたしは過去へ飛び立つことができるの」
「そう、いう……ことか……」
会いたいあの人というのは、もうメル・アイヴィーの過去にしかいないのだ。
そのために彼女は、それだけのために……都市ひとつをいともたやすく犠牲にしてみせた。
おそらく彼女は知っていたのだ。新型の爆弾が炸裂したとき、時間の停止した世界が発生することを。
「けれど時間には過去から未来に向かう流れが存在する。人間ひとり分の反動では、流れに逆らって過去に移動するには力が足りない。だから――」
メルは怖気を誘うような薄ら笑いを浮かべて言った。
「わたしはわたしを薄めることにしたの」
「どういう意味だ?」
「言葉の通り。わたしを構成する要素を他人に仮託することで自分の存在を停止した時間に取り残させることにした。例えばそのアイスクリームはわたしが好きな組み合わせ。いいえ。好きだった、か」
「あのビスケットも、あのハンカチも……」
「そう。お気に入りだった。もうどんな物だったかも思い出せないけれど」
時間の停止したレモネードの味のように。
「そうして必要十分まで希釈したわたしなら、過去へ飛ぶことができるの」
「僕がここに来るまでずっとそうしていたのか」
「ええ。あなたを待ってた。そう言ったはず」
ああ。これは散骨だ。メル・アイヴィーは自分で自分の骨身を時間の停止したこの街に撒き散らかしていたのだ。
あの人に会うという目的以外、自分に値打ちを求められなくなって。何もかも捨て鉢になって。彼女は自分をちぎり捨てていたのだ。
「そうまでして会いたい、あの人ってのは一体どんな奴なんだい?」
「さあ。もう忘れちゃった」
「はあ? 何を言っている! 会いたいのだろう! なんで忘れることができるんだ!」
骨壷を抱く僕を、彼女は冷ややかに見返した。
「一番重いものだもの。一番最初に捨てたに決まっているでしょう」
こいつは僕をせせら笑っているに違いない。僕の抱えるものを。僕の悲しみを。虚しさを。心を抉られる苦しみを。
同じように大事なものを失った分際で。
「君は、過去へ戻れるならそれでいいのか?」
「それでいい。あの人に会えるなら」
「そうやって、その鞄の中に何が残るっていうんだ」
「爆弾とプリンアラモード。他にはもう他人に預けられそうなものは無さそう」
「それじゃあ僕はもう用無しだな。君の事情は引き取った。アイスもだ。プリンも引き受けようか?」
「だめ。これは自分で食べるから」
「ワガママ娘が」
「欲しいならワガママだけあげるよ」
「自分で面倒見ろ!」
なにかひどく馬鹿なやり取りをしたような気になる。
「それで、僕はどうやって帰ればいい。もう案内は終わったんだろう?」
「どうやってこの世界に来たのか思い出して。来た道を引き返せばいいの。
「バスで来たんだ。トラックじゃない」
「はいはい。思い出せるならそれでいい。わたしはもう一度、爆弾を起爆させる。時間の停止した世界では元の状態に戻るけれど、そのエネルギーを使ってあなたを弾き出すから」
分かった。と頷いて、僕は礼拝堂の出口に向かう。
「さようなら」
僕が言う。
「さようなら」
彼女が言う。
バスの停車場へ急ぐ僕の耳に歌が聞こえた。手の中のアイスクリームから。いや、街のあちこちから、メル・アイヴィーの歌が聞こえた。
「何を歌っているんだ……」
『これは憐れみの讃歌。熱的死を迎えるまで消えることのないこの世界を憐れむ歌』
アイスクリームが答えた。
『そうしてわたしは祈りを捨てる』
「この世界の神にさえ、君を引き渡すのか」
『そういうこと。さあ急いで。歌の終わりが起爆の合図だから』
答える代わりに歩調を速めた。
この世界に散らばったメル・アイヴィーたちの憐れみの歌が聞こえる。
神様さえバラバラにして、停まった時間に取り残す、残酷な歌が聞こえる。
辿り着いたバスに運転手はいなかったが、僕が座席に着くとそれを待っていたかのようにエンジンが唸りを上げた。
ブルブルと震える車体がゆっくりと動き出す。
ふと窓の外がしんと静まり返った。
僕は両手に骨壷とアイスクリームを抱えて座席にもたれかかった。
疲れていたのだ。
まぶたを閉じるまでもなく、目の前が真っ暗になる。
光がバスの後ろに吸い込まれていったふうに感じた。
トンネルに入ったみたいだと、僕は思った。
バスがトンネルを抜けると、眩しい夏の陽射しが窓を突き抜けて注ぎ込んでくる。
居眠りをしていたのだと悟って腕の中を確かめると、骨壷はきっちりと収まっていた。
停車場に着いたバスから何の気なしに降りると、そこは丘の上だった。
停車場のそばに売店があって、観光客向けのお土産やなにかを売っている。
僕はそこに店を構えるアイスクリームの店に顔を出して、注文をする。
「チョコレートとペパーミントの
変な注文だと自分でも思う。別段、好きな組み合わせというわけでもない。僕はストロベリー派なのだから。
見晴らしのいい長椅子に腰掛けてアイスクリームを舐める。
思ったより美味い。
長椅子からは新型爆弾で吹き飛ばされた街の惨状が一望できた。
火葬場の煙突からは今日も空に向かって白い煙が伸びている。
アイスクリームを食べ終えて、見晴らし台の柵まで乗り出した。
ボロボロの街だ。骨身を剥き出しにした死体みたいに酷い。
そこに人がうごめいて、元気すぎるくらい元気に暮らしている。
いい眺めだ。
「僕は、おまえには会えそうもない」
骨壷の蓋を開けて、遺灰を手に掴む。
「そのうち。僕がおまえを思い出すとき。おまえのほうから僕に会いにきてくれ」
風に乗って白い灰が、サラサラと流れていった。
街の真ん中には大きな穴が空いていた。
ディッシャーでえぐり取られたアイスクリームみたいな、無惨な穴だった。
散骨アイス 完
散骨アイス 豊口栄志 @AC1497
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