ぼっち生活終了のお知らせかもしれない

毎朝電車で通学していると、電車内でいちゃいちゃしてるやつが沢山いる。別に他人の恋愛なんぞ興味はないが、執拗に見せつけられていると思うとなんかむかつく。

だいたいな、いちゃいちゃなんて電車の中でなくても...

「うわっ...!」

おいおい、電車を傾けて人の思考を邪魔すん...


――むにゅ


「...!」

手の中にある感触はとても柔らかい感触。すなわち、胸だ。

咄嗟に手を離し、おそるおそる顔を見る。

顔は...何て言えばいいんだろう。というか、この人知ってるわ。眼は氷のように冷たく、唇は桜色をしていて整っている。

学年1の美少女であり、俺に次ぐ成績学年2位の女子生徒

《ひさきひょうか》氷咲氷華


――氷咲氷華

入学当初はひと月で10人にも告白されていて、氷柱つららのような液体窒素並に冷たく、さらに針よりも鋭い一言を吐いて振ってきた。そのせいか、クラスには彼女の居場所がない。つまり、俺と同じぼっちだ。


という論理的思考を0.2秒で済ませた俺は次のにとるべき行動を考えなければならない。

はっきりいおう。無理だ。


「あなた...」

ひぃぃぃぃぃ!!!

「あなた、常陰智久しょういんともひさ君...ね?」

「え、あ、まぁ、そうですけども...何故ご存知なんですか?」

「そりゃそうでしょ、あんた学年1位でしょう?私が知らないわけ無いわ。」

「そういうあなたは学年2位でしたね」

「次の模試は勝つから。それはそうと、あなた、私の胸触ったわね?」

「あ、いえ、そのあれは不可抗力というかなんというか...」

「そんな言い訳は要らない。結論だけ欲しいのだけれど。そんなこともわからないのかしら。」

やべぇ、めちゃくちゃこえぇ!

「すみません、触ってしまいました。」

ここで「触りました」と言ったら、自分から触ったみたいになるから触ってしまったと言うことで、悪意は無いということを証明できる。みんな、しっかり覚えとけよ。

「そうね、じゃあ、放課後に5棟3階のPCルームに来なさい。そうすれば痴漢のことは不問にしてあげるわ。」

「ほんとですか!?」

「ただし、来なかったら...わかるわね?」

そんなおぞましい台詞を吐くときの氷咲の笑顔は天使みたいに可愛らしかった。

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ひねくれぼっちと学生生活 @Crossfade

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