第13話 告白①
13.告白
右腕がピリピリと痺れている感覚が
して動かそうとするが上手く行かない。
やばい寝てた。
ヴィクトリア怒ってないだろうか?
目を開けないまま不安になる。
しかし何故か右腕が重く動かない。
そーっと目を開けると銀色ねふわふわしたいい香りのする物体が目に入る。
再び目を閉じて
このいい香りをもっと吸いたくて、
動く左腕に力を込めて自分の方へ引き寄せ抱きしめ大きく深呼吸する。
右腕に乗っているから痺れていたのかと思いながら嫌な気はしない。
いい香り…。
ずっとこのままでいたい…。
ふわふわに顔を擦り寄せたり
自然と唇を重ねていた。
「う…んっ.啓太…おはよございます。」
「えっ」
ヴィクトリアの声がした方を何の気なしに見ると俺の腕の中で眠たそうに
目を擦りながらヴィクトリアが見上げてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
唇が重なる寸前の場所にあり俺は
思わず、悲鳴じみた声を上げながら
ヴィクトリアから素早く離れた。
ガツン
「痛っ!」
勢いよく起き上がり離れたので壁に
思いっきり肘を強打する。
「びっくりさせてごめんなさい。啓太が眠てしまったから布団かけました。私も眠くなったので隣で寝てしまいました。」
ヴィクトリアはペコリと頭を下げた。
「あっいや、大きな声出してごめん。
ビックリしただけだから。」
俺は頭をゴリゴリ掻き毟りながら
謝る。
「露天風呂入ってきます。」
ヴィクトリアはフラフラと立ち上がり脱衣室へ消えていく。
また嫌な態度をとってしまった。
あんなに驚く事はないじゃないか!
いい香りとふわふわの髪の感触…
ドキッ。
重なる寸前だった唇…
ドキッ。
思い出す度に心臓が跳ね上がる。
男だから俺もヴィクトリアも男!
俺はきっと弱り過ぎてるんだ。
妻に女に酷い目に遭わされたから
男にヴィクトリアに惹かれてると
勘違いしてるんだ。
「よし!」
他人と風呂に入るのは苦手だけど
謝りついでに背中流して
それでお礼を言ってやはり泊まれないと話して出て行こう。
気合を入れて脱衣室に入ったものの、ヴィクトリアの脱いだ服にまた心臓が跳ね上がる。
しっかりしろ。
何もない。
男同士だ。
普通に。
何度も自分にいい聞かせる。
「ヴィクトリア?俺も入っていいですか?」
声が震えていたように思えたが、中にいるヴィクトリアへ声をかけた。
「どうぞ。」
許可を得てから服を脱ぐ。最後の1枚を脱ぐ時に戸惑ったが、一気に脱ぎ捨てタオルを持って浴室へと入った。
たとえ今日死んでも明日生き返ればいいそんな日常 若宮 愁一郎 @piko1227
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