第8話年越し編

「なぁタカシ。今年の年越しどうする?」


「ああ、そう言えばもうそんな時期だったねケンジ。クリスマスもあっという間に終わっちゃったしなぁ」


「そうだなタカシ。やった事といえばアツシの家でサプライズパーティしたくらいだもんなぁ。まぁサプライズが効きすぎてアツシの奴失神してたがな」


「まぁ暫しの間アツシが実家に帰るっていう逆サプライズ付きだったけどね!失神するほどいいサプライズになって良かったねケンジ!」


「だな!でだ。今年の年越しどうする?平成最後の年越しだしなんか思い出に残ることしたいよな。今までは俺達何してたっけタカシ」


「んー、去年は確か「地獄の年越しナンパが成功するまで帰れまテン!」やったよケンジ」


「ああ、そうだった。結局帰れなくて二日ほど寝ずに外で過ごしたんだった。真冬に帰れないのはかなりきつかったなタカシ」


「そうそう。アツシなんか「俺なんか行ける気がする」って言って一週間粘ってたもんね!どうしていけると思ったのか未だに疑問だよ」


「あ、一昨年はあれか。「地獄の年越し山頂で日の出と共に俺たちの息子も天に向かってそそり立てるまで帰れまテン」やったなタカシ」


「ああ、やったね!結局寒すぎて三人とも息子が縮こまってうんともすんともいわなかったんだよね!しかも警察に追われるっていうおまけ付きだったねケンジ」


「新年早々全裸で山を全力疾走して逃げるとは思わなかったよなタカシ。まぁ警察も新年早々全裸の男三人を追って山を駆け抜けるとは思わなかっただろうが」


「その前は何だっけ?ああ、そうだあの時は高校生だったから皆受験勉強してたんだったな」


「そうだよ。少し前まで俺達高校生だったんだよねケンジ。もうなんか遠い昔に感じるよ」


「そうだなぁ。俺達ももう20歳だタカシ。そろそろおちつかなきゃだよな」


「じゃあ落ち着いた年越しするケンジ」


「いいな。しかし落ち着いた年越しってのはどんなのだタカシ?大人はどうやって年を越すんだ?」


「んー大都会東京の大人たちは会社で年越しそうだねケンジ」


「ただの社畜じゃないかそれ。年越しくらいは仕事したくないもんだなタカシ。他には何か案はないか?」


「うーん。まだ正直東京の年越しの仕方がイマイチ分かってないんだよな。ケンジは何かないの?」


「うーん、そうだなぁ年越しって言ったら年越しそばだろ?初詣に初日の出とかか。でもそれだと普通でつまんないよなタカシ。折角の20歳の年越しなんだから思い出に残ることしたいよな」


「20歳になってできる様になったことと言えば「酒が飲める」「タバコが吸える」ことだねケンジ」「なるほど。ならお酒を呑みながら年を越したいな!「地獄のはしご酒」なんてどうだ?」


「いいね!!でもこれには問題があるよケンジ。俺達近場の居酒屋大体出禁になってるよ」


「ああ、そうだった。酒飲んで店で服を脱いだら何処も追い出されたんだったよな。世の中理不尽が多いと思い知った出来事だったなタカシ」


「そうだねケンジ。大人って大変だよね。他に何か案ない?」


「そうだなぁ。たまには落ち着いて神社で年越しなんてどうだタカシ。なんか仮装とかしてさ」


「いいんじゃない?たまにはそういう普通な事をしてもいいかもねケンジ。なら俺はサンタさんのコスにしようかな!というかそれしか持ってないし!」


「タカシはサンタコスか!季節感無視しまくりで逆に良いかもな!なら俺は水着で行こうかな?コス持ってないし」


「この季節に水着とはさすがだねケンジ!しかし海入りたくなってきたな」


「海開きはまだまだ先だなタカシ。その前にスノボーとかしようぜ!」


「いいね!去年みたいにアツシをボード代わりに滑ろうよ!やれやると目立って人気者になった気分になるんだよね!」


「あ、それいいなタカシ!なら春には去年みたいにタカシを敷いてその上でお花見をしようぜ!あれ丁度二人分くらいの幅しかとらないからちょうどいいんだよな!」


「だね!夏にはアツシを浮き輪代わりにウォータースライダーをして、秋にはアツシを敷いて枯れ葉の滑り台を滑ろう!」


「全くアツシ様様だなタカシ。来年もアイツの世話になりっぱなしだ。まぁだが遠慮する気にはならないがな!」


「アツシもなんだかんだお願いすればやってくれるからね!」


「あいついい奴だからなタカシ!あ、そろそろ時間か!」


「そうだねケンジ!アツシ様様を待たせるわけにはいかないからね!」




「お、二人とも珍しく時間通りに来たな。というかどうしてミニスカサンタとブーメラン水着の格好なんだ?」


「お待たせアツシ!この方が俺達らしいと思ってな!」


「お待たせアツシ!この方が盛り上がると思ってさ!」


「まぁ盛り上がるかどうかは分からないが話題作りはばっちりだな。さすが二人だ。いくつになっても俺を感心させてくれる」


「こんなので感心してくれるのは世界広しと言えどアツシくらいだぜ。な、タカシ!」


「そうだよねケンジ!じゃあ行こうか!そろそろ除夜の鐘がなる頃だし!」


「だな!今年も色々ありましたがありがとうございました!」


「「「2019年もよろしく!!」」」

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ケンジとタカシ 神城弥生 @_yayoi_kamisiro_

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