友達はゴブリン
山村 草
第1話 幸運のお呪い
「おはよう、
声のした方を見る。ユノだった。すらっとした鼻筋、尖った耳、低い背、彼女はゴブリンだ。
「おはよ、ユノ。ねぇ、これどうよ?」
私は左頬を強調して見せて聞く。
「うん、良いね。似合ってるよ」
「じゃなくて、合ってる?」
「合ってるよ。この世界を滅ぼしてやる!でしょ?」
「違う!なんで?」
「はいはい、可愛いって描いたんでしょ?ほら、ここ間違ってる」
ユノのかざした手鏡を見る。左頬に描かれた三文字の化粧。これはゴブリンに伝わるお
「どこどこどこ?」
「ほら、ここ。字の頭。ここの所はみ出ちゃダメだからね」
ユノは同じ字を紙に書いて見せてくれる。これを頬に口紅で描くのだ。しかも鏡で見ながらなので鏡写しにしなければならない。
「あー、そこかぁ」
「また直接描いたんでしょ?」
「だってその方が効果あるんでしょ?」
「そうだけど。シート使ったほうが楽だし確実だよ?」
この
「でもさぁ…」
「じゃあ簡単なのにすれば?」
「そんなのあるの?」
「こんなのはどう?」
ユノは再び紙に三つの文字を書く。確かに画数は少なくシンプルな文字だ。
「意味は?」
ユノは少しはにかんで言う。
「私に幸運を」
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