線香花火

ヘルツ博士

線香花火

 少し涼しい夏の夜、ろうそくの炎で線香花火に火をつけた。燃え移った炎は少しずつ小さくなり、やがて小さな玉を作りながら火花を散らし始めた。

 しばらくすると火花は出なくなり、玉は尾を描きながら力なく下に落ちた。落ちた玉は三つ四つに分かれ、地面の上で赤みを失っていった。

 すぐ隣にいる私の友達も、ろうそくの炎で線香花火に火をつけた。

 きっとあの子も、産声を聞く間もなく、玉は落ちて砕け散るのだろう。

 ろうそくの炎は、吹き始めた秋風に揺られ、ひっそりと消えていった。

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線香花火 ヘルツ博士 @Hakase10Hz

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