第十八話 おお、夢のコラボレーション? Xマスのシチュエーションを含め。
あわわ……という表現がピッタリだ。
「瑞希先生、おはようございます」
と、LEDとは種類の違う豆電球のように、茶色っぽく広がる落ち着いた世界の中で奏でる休日の朝に
それから、その横では、おばあさまの柔らかな
おじさまの名前は
おばあさまは、
造りは似ているけど、ここは
「ちょ、ちょっと、未来君?」
ユサユサと揺さぶる。でも、胸に顔を埋めながら、
「ン……ママ」
と、いつもとは想像もできないような、甘い声にまで発展してしまった。
いつもは「お袋」で、昨夜は寝言で「お母さん」で……って、幼児退行していっているようなのだ。このままでは本当に、わたしが未来君のママに至ってしまいそうだ。
そんな心配をよそに、おじさまは何だか懸命に笑いを堪えているように見えた。
そんな時だ、まさに。
「わわっ、ミズッチ、そんなに胸おしつけるなよ」
という
休日の朝には似合わないほど、お目目をパチクリ、わたしを見ている。
『――ひっついてきたのは誰よ。
ママ……って、顔おしつけてきたのは未来君じゃない』
との、ギリギリのラインをもって、声にはしなかった。
それが証拠に、
「おはよ、未来君」
と、おだやかに、
ごく自然に、ニコちゃんマークのイメージにすることができた。
おじさんのお陰かな? それに合わせてここに集えし皆を見守るおばあさまの、温かな笑顔があったからかな? 未来君に対して秘密、もしくは内緒にするつもりもなかったのだけれど、すでに許可を得ており、すでに公認の上……ということなのだ。
――六月十九日の金曜日。昨日のことだ。
この日は未来君の誕生日。プレゼントとはいっても、プラモデルのことはあまり詳しく知らないし、格ゲーなら、と思って、おじさまに『未来君の情報』と称して、勧めるというよりもやや控えめな『提供』という形で収めてみた。
……
……本来なら、コンプレックス以外の何ものでもないはずの子供っぽさ。それにプラスして、女の子の部分までも無駄なくフル活用して……とはいっても、あくまで誤解がないように付け加えますが、おじさんは、わたしに対しても未来君と同様に、パパを演じてくれたのです。ぐすっ……そのあとは、稚拙の極まれり。
変な述べ方になっていたら、本当にごめんなさいね。
豚汁は、ママの味を再現できたけど、
未来君のママには、とてもなれない。
……きっと、子は親の心知らずなの。七つの時、
知っていたら、パパと
……泣いちゃった理由は違うし、未来君には
本当は「
くどいとは思うけど、あくまで事前に、
素直に未来君のいる九棟の二〇二号室には向かわずに、まずはおじさまのいる工場に向かった。……その途上、約二十分の道程を歩く間に計画。何故か、家を飛び出した時にパジャマを持参していたので、その計画は実行に移されることとなった。
もしくは、おじさま、おばあさまにも、
お話していたことを、展開しているだけのことなのだ。――
おじさまと、おばあさまも含めて、
未来君の『ハッピーバースデー』を
思いあるが故に上昇する感情。例えるならXマス、雪をも溶かす情熱の中で、
わたしは試みる。上半身を起こし布団から少しだけども出る。「ミズッチ?」と、未来少年の声は聞こえようとも、いざ両手に取る! 大き目の、それも赤い靴下を!
「出してみよっ」
「おいおい、まさか『サンタさんからのプレゼント』っていうんじゃないだろう
な」
あはっ、と笑えた。
思った通りの未来君のツッコミは、ここに健在。
「Xマスに季節は関係ないない。世の中のパパたちは、皆サンタさんの経験者だよ」
この言葉、あくまで勢い。
根拠はない。『必殺必中』ということは、
だけれども、おじさまと。おばあさまも一緒に、見守っている中で、
「ほら『ヒロストⅤターボ』の登場だよ、未来君」
ジャーン! という感じで大披露。……未来君の目は、丸くなった。
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