第十九話 ……ああ、仰げば尊しは、前回お話する予定だった。
『――お話を進めるその前に、状況を整理しよう。
と、我が心の中で、そんな
それを文章化するならば、イメージカラーは
緊急に手を打たなければ、と、そう思いつつも、
舞台は
それにしても、まあ……。
六畳ほどの、ありふれたこの部屋に、よく四人も集っていたものだ。
しかしながら、見た目ではなくて中身……つまり内容的に述べるのなら、あり得ない展開が実行されていた。上手く述べられるかは別として、女性の先生が、男子生徒と同じ部屋……ましてや、同じ
「瑞希先生」と呼ぶべきだろうか?
……否! やっぱりミズッチは、
上半身を起こし、少しだけ布団から出て、赤い靴下から取り出したことによりXマスを超越。この俺、
ハッとして、グッとくる。
公認という言葉を使うのなら、
昨日から今日までの行動に対しても納得がいく。……男と女、同じ浴室での裸の付き合いは、二人の秘密としても、ミズッチのゴム
「ねっ、やろっやろっ」
またユサユサ揺さぶる。手を引っ張られながら、いくら大人といえども女性。それも容姿からは想像もできないような……おおっ、何という力だ。グイグイ引っ張られるぞ。
「まずいぞ、このままでは」
と、いう事態になってしまう。実は昨夜のことなのに、未だミズッチのパジャマの下に隠れる裸体が頭から離れずに……その上、胸とか、お腹までもが、それだけではなく、あらゆる部位の弾力……いやいや、想像していた以上に
それでも半端なく、
というよりかは容赦なく、ミズッチは大はしゃぎで、
「なになに? 未来君」
という具合に、ぶりっ子? カマトトとも解釈が可能? あくまで笑顔だけど、今の俺には悪魔にも見えるミズッチの顔。だからこそ
「いいのか? 帰らなくて。ママと
と、思わず声に出して言っていた。
今はとにかく、布団から出ることは具合が悪いのだ。
そう自然と、
それでも必死にと、両方の眼をフル稼働して訴える。
「え、えっとね、それは……」
と、タジタジ。
ミズッチの笑顔が、急速な変化を遂げて
「瑞希先生、それはいけない」
と、親父が反応してくれて、今はカーテン越しに
「あ、あのね、未来君……」
と、俺に助けを求めているのか?
だがな、この期に及んで弁解など聞くつもりもなく、
「良かったね、瑞希先生。お父さんが一緒なら、ママも大丈夫でしょ? これで月曜日にまた、学校で、笑顔で会えるでしょ? 僕、楽しみだなあ……」
と、本当に我ながら似合わないし、
青春ドラマとかでよくある『後で覚えとけよ』とばかりに、『タイガー』の目でミズッチに
まあ、細かいことは多分にあるだろうけど、これも女性にはわからない思春期真っただ中の男子の生理現象なのだと理解してほしい。『許せよ、瑞希』と
まっ、良しとしよう!
『――落ち着きを取り戻した未来は、これより祖母とともにバースデーケーキを
さあ! 本当に束の間だったけども、今度は
パジャマ持参、替えの下着まで用意していた。恐れ多くも……洗濯機を
しかしながら、お楽しみまで、昨日に戻った。
ヒロストの最新版……何かしら約束があるから、また会える。
何でもいいの。クスッと笑える。トキメキにも似た期待。ともに一夜を過ごした未来君への
……ううん、
「瑞希先生の名字は『北川』ですね。もしかして、お母さんは学校の先生でした?」
と、訊いてきた。ここはもう四棟の前、赤いポストが見える。
「はい、そうですが……」
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