Loading / 何処


『今日午前八時十九分、○○駅で電車事故が起き、一人の男性が亡くなられました。警察の調べによりますと、亡くなられた男性の身元は先導 世界さん会社員であり、通勤途中での事故との事です。その場に居た女子高生の証言によると、この男性は、事故に遭う直前……』



「チュンチュン……」


 小鳥のさえずりで、ゆっくりと目が覚めた。

 仰向けで見る宙は、驚く程に真っ白だった。


 ん、病院か……でもどうして?


 身体を起こして辺りを見回すと短芝が広がっており、芝の生えていない道の真ん中に居た。

 それだけでなく、宙はどこもかしこも真っ白だ。


「チュンチュン……」


 さえずりのする方へ目を向けると、小鳥が飛び跳ねながら地面を移動していた。

 ピタッと静止して、その小鳥はゆっくりとこちらに首を曲げ、目が合った。


「やあ、どうもはじめまして」


 低く太い声でそう言われたのに驚き、地面を引きずって後ずさりした。


 な、何だ今のは。


「夢か……」


「夢、か。私も最初はそう思ったよ」


 返事が返ってきて、また後ずさりした。

 眉を細め、小鳥を凝視する。


「何、お前」


 そう言うと、小鳥は微笑したような表情を浮かべて高い音を出した。


「私も君と同じく、死んだのだよ。私もここへ来たのは、先程なものでね。よくは知らないんだけど」


「死んだ……え? 」


 何を言っているんだコイツ。


 頬を何度か叩いて、腕を組んで唸った。


「アッハハ。心当たりが無いのかい? そうだね、人間死ぬときはそんなもんさ。どうにも死が迫ってきている事には気付かないものだよね。寿命というものはあるが、まさかそれが眠るように逝くものであるとは。いやあ、驚かされたよ」


 と、鳥に良いこと言われた……。


「あ! 君は寿命ではないよね。すまない。スーツ姿だしね……未来ある若者が亡くなる事は惜しいことだが、ここに来たからには、悪いことばかりではないと思うよ」


「あ、はあ」


 というかリアルな夢だな。


「それでその、どうすればいいんでしょうか」


 そう聞くと、小鳥は羽を伸ばして道の先を指した。


「この道の通りに、歩いていってみるといい。すぐに人が見えてくるはずだ。案内してあげるというのも良いが、もう時間が無くてね」


「そーですか……何か、ありがとうございます」


 立ち上がって礼をすると、指した方向とはまた逆の方へと飛び跳ねて行ってしまった。

 姿が見えなくなるまで視界に収め続け、見えなくなると振り向いて歩き始めた。


 そう言えば、さっき死んだ善人がどうとか言ってたな。

 俺死んでないんだけど。


「ま、いいか」


 夢が覚める所まで行ってやる。





 あれから、感覚で五分ほど歩いた。

 道はまだまだ続いているが、人影も見当たらない。


 ……走ってみるか。


 そう思いしばらく走ってみるも、一向に景色は変わらない。

 躍起になって速度を上げるが、すぐに息切れし始めた。


 もうしばらく運動とかしてなかったな。

 え、運動?……夢の中で運動して息切らす事なんてあったっけ。

 これ何かの実験なのか。


「あ」


 すぐに足を止めて、ずっと先を注視した。


 こういう状況って何だろうな。

 似たようなのがあったような……。


「三途の川だ」


 川を渡りきるとあの世に逝ってしまうだか何だか。

 記憶には無いけど、俺に何かあって、今は意識が戻らない状態だとしたら……?


 先程から違和感を感じていたが、足を止めてそれがようやく分かった。

 息切れしているのに、汗が全く出ていない。

 暑さも寒さもを感じないのだ。


 そーいえば仮死状態を体験した人があーだこーだってテレビで言ってたなあ。

 死ぬ程興味なくてチャンネル変えたんだっけ。


 地面に俯いて、静かに目を閉じた。



 どれ位の時間が経ったか、身体が忘れ始めた頃。

 鐘の音が響くのを、ふと耳にした。


 顔を上げ目を開けると、さっきまで何も無かった場所に人影のようなものが多数現れた。

 それだけでなく、人影はしだいに近付いてくる。


 遂に向こうから来ちゃったか?

 これ生きたいという思いで抵抗したら、命を取り留めるとかあんのかな。

 抵抗したらそれはそれで地獄に落とされそう。


 そう思ったが、拳を構えてじっと待つ事にした。


「ま、落ちたら落ちたでってことで」


 ここが地獄かもしれないしな。

 地獄にも小鳥くらいはいるもんさ。

 何だ……?何か。

 鐘の音が、近づいてきている。


 気のせいではなく、本当に音が大きくなってきている。


「お、いいや、や無理やっぱり無理だ」


 勘弁してくれ。


 途端に身体が吸い込まれるような感覚に襲われる。

 視界は歪み、身体中を鈍い衝撃が走った。


 ?


「はあ? 」


 気がついた時には、目の前に大勢の人と建物があった。

 口をあんぐりと開け、呆然と立ち尽くしていると、横から声をかけられた。


「すみません、ここって何処か分かりますか? 電波が繋がらないみたいなんです……。他の人たちに聞いても、みなさんよく分からないみたいなんです」


 制服を着た男の子が携帯を片手に、ランドセルを背負っていた。


「へ? 」


「え? 」


 何で俺が尋ねられてるんだ。


 地面に膝をついて、男の子の目線に合わせた。


「いや、俺もよく分からないかな。お父さんとお母さんとは一緒? はぐれたなら、一緒に探すよ」


「ここには居ません。……あ、さっき学校に行く時、おっきな車に轢かれちゃったんですけど」


「く、車に? 」


 見たところ、外傷は無いどころか制服に目立った汚れすら見当たらない。

 ランドセルに傷も入ってない。


 あの小鳥も死んだかどうだかって言ってたけど、なんか関係あんのか?

 それとも本当に死後の世界?

 それも夢でなければの話だが。


「んー」


 辺りを見回すと、人々は幾つかある建物に向かって列を作っているのに気がついた。


 どうしたらいいか全く分かんないしな……。


「とりあえず、一緒に列に並ぼうか」


「うん」


 適当に並ぶところを決めて、最後列に並んだ。


「あなた、そこのあなたです。その列は違いますよ。あなたはこちらです! 」


 背から翼の生えた美少女が現れて、セカイと目を合わせて言った。


 顔の大きさほどしかない翼に、金髪で長い前髪に左目が隠れている。

 右目の瞳は赤色だが、髪の間から青色の瞳が覗いているオッドアイだ。

 短めのスカートから、女子高生にた雰囲気を思い浮かべた。


 天使ってことは天国で間違いなさそうだな。

 死んでないけど。


 立ちつくしているとこっちに向かって手招きをして、何処かへ進んでいく。

 男の子の手を取って着いていこうとすると、少女は振り返ってこちらへ戻ってきた。


「この子ではありません。この子はこの列で合っています。あなたは別です」


「え、関係あるんですか? 」


「はい、重要なところですね」


 男の子の了解に手を添えた。


「俺は別の所らしいから、行ってくるよ。一人で大丈夫? 」


「うん! ありがとう! 」


 男の子は笑顔で手を振り、それに対し手を振り返した。


 前を行く少女が何か呟いているのが、微かに聞こえる。


「おかしい、そんな枠は無かったはず……誤作動かな。兎にも角にも、あのノロマジジイに押し付けるのは変わりなさそうね……」


 ダダ漏れだ。

 天国ではないかもしれないな。


「さっきのキモいエロガキよりは全然まともな人で良かった。にしても回転をもう少し早めてもらわないと、お茶出しとか私の仕事が増えるのよ……」


「大変なんだな」


「ええ、サボれるいい機会だからなるべく遅く行きたいけど、それはマニュアルに反しますからね……ん? 」


 振り返ってきた少女に対して、残念がるような目で見た。

 何となく分かったのか、取り乱した後カートをいじって、膝の辺りまで伸ばした。


「何盗み聞きしてるんですか? 早く行きますよ! 違う……ご案内します! 」


 ニコッと笑顔を作って、顔を傾ける。


「う、はい」


 天使じゃなくて人間だな。


 しばらく行くと、こじんまりした建物に着いた。

 少女は扉の横に立ち、何かを待っているようだった。


「ちょっと質問いいですか」


「なんでしょうか」


「ここって、何なんです? 夢の中なら全部納得できる範囲なんですけど、訳わかんなくて事態を把握出来ないんですが」


「そうですね……巧く言い表せませんが、強いて言うなれば、案内所のようなものでしょうか。ここは死んだ善人が来る、名前の無い場所なんですよ。善人と一括りに言っても、人間性には雲泥の差くらいあることもあるんですけど。それは置いておくとして、そろそろ出てきますよ」


 ”元”人間?


 扉が軋みながら開くと、中からヒゲを伸ばした還暦を過ぎたような外見の男が出てきた。


「お疲れ様です。そのまま、道の方へ戻っていただければ完了です」


「よ、よく分からんけど、何か、ありがとうね……俺ってそんな善人に見えます? 」


 その男は自身の手を見るなり驚いて目を丸めた。


「おお、ホントに変わってる。これ、ホントに書いてる通りになるんですか? 」


「少なくとも、現時点では。これから来る善人たちの選択次第で多少変わることはありませんが、大体あの通りになります」


 開いている扉を少女が閉じて、返した。


「へぇーそりゃすごい。あ、どーも」


 こちらを見るなり挨拶をしてきたので、軽く会釈をした。

 男が通り過ぎてしばらく経って、扉を開ける少女が目を細めた。


「あの方は、29歳で亡くなりました。そして来世は富裕層の家に産まれ、エリート街道まっしぐらで27歳で起業し、世界有数の製薬会社として大成功する事になっています。そういう事ですよ 」


「え? 」


 開いた口が開かない。

 道をゆく男と少女を繰り返し見て、頬を叩いた。


「なるほど、つまりそういうことか」


「はい」


「やっぱ夢だった」


「は? 」


 手を引っ張ってきて、中に強引に入れられた。


「亀爺、追加で」


「追加……? さっきので一通り終わりじゃなかったかの」


 カウンターには、人間の大人ほどの大きな亀が、バケツをひっくり返したような帽子を被って座っていた。


「亀……」


 そう呟くと、さらに中に押しやられ、少女は外へ出た。


「では、セカイ様、さようなら」


「何じゃあ押し付けかあ? ま、こっちとしてはありがたいがの。暇じゃし」


 そっか、俺も死んだことになってるんだ。

 さっきの状況からするに……。


「のう、やること、大体分かっとるな? 」


「まあ、何となくは」


 椅子を出されて座る間際に、ファイルを差し出された。

 中を見ると、生物の画像が貼られており、その横に文章がある。

 亀の画像を見て、亀爺と比較して見てみる。


「おっさんって、亀なの」


「おお、亀じゃ亀。じゃがな、知性を持っとるんじゃワシは。昔話、聞くかい? 」


 話したくて仕方が無いのか、手が小刻みに震えている。

 一度話し始めると、長そうだ。


「いえ、それはいいんですけど……あの、まず確認しておきたいことがあるんですが、俺って、死んでます? 」


 残念そうな顔でコップを出すと、ポットからお茶のような色の液体をゆっくりと注ぎ始めた。


「あん? 死んどるかどうかも分からんのか。 正直に言う、死んどる。あ、まさか……」


 液体を注ぐのを止め、こちらをのぞき込んだ。


「死に際の事、全く覚えとらんのか」


 知ってんのかこの亀!


「何で覚えてないって分かるんです? 死んだ実感無いんですけど」


「ああやっぱりその通りかい。ごく稀におるんじゃよ、そういう客が。あー最後はいつだったか」


 ポットを置いて、壁に貼り付けてある紙を捲る。


「おお、そっちの世界で言う、一年前と二ヶ月じゃな。久しぶりじゃわあ……どうやら、お前さんの死は、予定には無かったみたいじゃのう。何でかはさっぱりじゃが、こっちに通達がこんかったわい」


「通達? 普通は誰が死ぬか分かるんですか」


 コップの液体を飲んで流し台に入れると、今度はこちらに液体入りのコップを差し出した。

 それを受け取って、匂いを嗅ぐ仕草をしてみた。


 なんだこれは?


「分かる。誰がいつどんな死に方で、この場所に来るか。じゃが、お前さんの場合は予期されなかった出来事じゃ。当然、それについての記録も無い、つまり闇に葬られたという訳じゃな。最後に何をしたか覚えとるかね。フン、スーツ姿のところ見るに、通勤途中じゃな」


 あ、そっか。


 自身のスーツを見て、鞄がないことに気がついた。

 何となくだが、覚えている。


「その通りです。何か遅刻しそうになって、家を出たことは覚えてます。そこからは……」


「ほらバッチシじゃ。何考えてもしゃーない。来世の事を考えよう、ちなみにワシはおっさんという歳ではないわ。二百歳超えとるけえの。その資料を眺めておれ。もうすぐ出るはずじゃ」


 膨大な資料を捲っていく。


 カエル全種……二十ポイント。

 アリ全種……五ポイント。

 ゴキブリ……五ポイント。

 人間……二百ポイント以上。


 この規則性の無い並び方とポイントは何だろうか。


「……ん、なんじゃコレは。印刷ミスか」


 奥から声がする。


「はあ、また印刷ミスか。しつこいのう」


 器具を乱暴に扱うような大きな音がする。


「ぐぬぬ……しつこいわ、どうなっとんねん! ムカつくから女神様呼んだろ、そうしたろ! 」


 何か妙なところで格闘してんな……。


「ちょっと不具合があったわ。お前さんの得点が異常な数値になっとる。正しい数値教えてもらうけぇ女神さまが来ると思うけど、粗相の無いようにな」


「女神、比喩表現が何かですか? 」


「いやマジモンじゃて。得点下げられたくないなら気をつけな。」


 得点ってポイントの事か?

 異常事態になってるっぽいけど、情報過多であまりに現実離れしてるから脳がついていけない。



「エルポワーヌ、お久しぶりですね。私を呼ぶとは珍しい事もあるものです」


 外から女性の透き通った声がして、扉が開かれた。

 眩い光を放ち、思わず腕で光を遮る。


 光の中から、色とりどりの宝石で装飾された美しい服を纏った女性が現れた。

 穢れを感じさせない白く透き通った肌に、彼女の目は翡翠の色と輝きを放つ。

 長く伸ばされた艶やかな髪を結ぶと、こう言った。


「……何をしているのです? 私は何もしていないはずですが」


 そう、ただの妄想である。

 もしかすると、超ブサイクかもしれない。

 そうだったらなんと声を掛けてあげればいいか分からない。


 腕を下げて、姿を確認した。


「ゲホッ!! 」


 まんま妄想通りだった!

 いやいや美しさで言えば妄想以上!

 鼻血出そう。


「これは、夢ではない……」


「夢ではありませんが、エルポワーヌ、この方は? 」


 エルポワーヌ、この亀のことか。


「女神さま、また例の不具合じゃて。教えてくださいな」


 紙を受け取った女神は呆れ顔になる。


「あら、またですか。仕方ありませんね……」


 翡翠の目は紅に染まり、しばらくして元に戻った。


「どうじゃ、何点ですかいな」


 紙を返して、近くにあった椅子に腰掛けた。


「その得点は正しいものです。間違っていません」


 エルポワーヌは顎が外れるかと思うくらいに驚き、こちらに紙を見せてきた。



 2560002 point。

 そう書かれてある。


「お前さん一体何やってきたんや。こんな桁オカシイやろ! 二百五十六万て、うちで今扱っとる件の最大得点が四万なんじゃ。 さっきの人ですら二万四千だったんじゃて! 」


 胸ぐらを掴まれて、咄嗟に返す。


「そ、それってそんなに凄いことなの? 俺特に何にもしてないんだけど……」


「どんな謙遜や。ワシが見てきた中じゃダントツ一位じゃ! 」


「落ち着いて」


 女神が静止させ、杖を持って言った。


「さあ、セカイさん。あなたは何を望むの? 正直に、何でも構わないのですよ」


 何でもいいのか?

 と言ってもサラッとしか見てないし、その最高得点のやつも気になるしなあ。

 この状況は面白いから、ちょっと困らせてやろっと。


 指をパチンとならした。


「神」


「なるほど、神になりたいんですね。……はい? 」


「神ってお前さん。そんな、望んでなれるもんじゃないわ。ねえ女神さま? 」


 女神は少し考えて、杖を小さく振った。


「あの子が喜びそうな件ですね。少し確認しておきたいことがありますが、よろしいですか? 」


「ま、まさか、もう何度目だと思ってるんじゃ女神さま。それやると手続きとか色々だるいんじゃて」


 それを聞いた女神はエルポワーヌを睨んだ。


「内情を外部の者に言うものではありません……それと、それがあなたの仕事よエルポワーヌ。カナちゃんから苦情が入ってましたよ、雑談ばかりして仕事が遅いと」


「それは、はあ」


 これって神にしてもらえる流れなのか。

 困らせてやろうと思っただけで、そんなになりたい訳じゃないんだけどな。

 面倒そう。


「セカイさん。神と言っても、この一つに絞らせていただきます」


「はい」


「あなたには、異世界を創造する神になっていただきます」


「は? 」


 異世界の、創造って何だ。

 待て、俺だけ置いていかれてる。


「え、それはつまりどういう事でしょう」


「行けばすぐに分かるわ。助手を付けますから」


 嫌な予感がする。

 妙に事を急がせてるように見えるぞ。


「や、やっぱ何か大事になりそうなので辞めときます。ゴキブリで構わないんでそっちでお願いします。お騒がせしてすみません」


 女神は口に手を添えて、微笑んだ。


「あら、そうならそうと早く仰っていただければ。お気の毒ですが、既に始まってしまっています」


 身体から重さが消えて、次に足に力が入らなくなり、床に膝をついた。


「絶対にしてはならない事を忘れないよう、あなたの記憶に囁いておきますので、後で思い出してくださいね」


 視界が反転して、白と黒だけが映る。

 逆らえない程強い睡魔に襲われ、そのまま目を閉じた。

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