第3話 バス停
自宅の最寄り駅、A駅から電車に揺られ約30分後
大学の最寄り駅M駅に着いた。
電車から降りる頃には先程のコーヒーのおかげか、少し目が覚めていた。冷たい風にも身体が慣れてきたのか、キリッとした冷たさの中に心地良さを感じていた。
しかし、ここに来てまた新たな障害が私を待ち受けていた。そう、駅からスクールバスのバス停まで歩かなければいけないのだ。たかが5分程ではあるが、駅を囲むようなルートなので歩くのが嫌いな私にとっては悩みの1つとなっている。
『毎朝毎朝バス停まで歩くのめんどくせぇなぁ…』
そうポツリと呟いた直後、背後から肩を叩かれた。
「よう!夜霧」
『なんだ...若崎か...』
この朝から無駄に元気に声をかけてきたのは同じ学部の若崎だ、私はぶっきらぼうに応えたが、別にこの若崎を嫌っているとかそういう訳ではない、むしろ良い奴と言っても過言ではない。ただ朝からこのテンションで来られると単純に疲れるのだ。
「"なんだ"は酷くないか!?」
『悪かったよ、で、朝から元気だな、何かいい事でもあったのかい。』
そう私が聞くと彼は昨日の夜見たYouTubeの話をしてきた。内容はどうやら、もしも核ミサイルが落ちてきたら、だとか人類が自分以外滅亡したらと言ったようなシミュレーション系の動画らしい、内容から以前私も見たことがある動画だった。
『その動画見たことあるわ』
「本当か!、あのシリーズ面白いよな」
若崎は話題を共有できる人間を見つけたことが余程嬉しかったのか目を爛々とさせ話を続けた。
話は盛り上がり気づけばバス停に着いていた。
(ありがとう若崎、お陰で楽にバス停まで来れた)
そう心の中で感謝しつつ私はバスに乗り込んだ。
陽はまた昇る... 夜霧 紫苑 @Tr_180
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