ソーセージエッグマフィンだけ全力出してくるファストフードショップ

「いらっしゃいませー。何に致しましょう?」

「チーズバーガー」

「こちらでお召し上がりですか?」

「はい」

「お待たせしました、チーズバーガーです」



 ――ウィーン、スッー。ガガガガガ。

 あっ、痛い。ちょっと待って、なんで閉まってあががががががが――


「いらっしゃいませー。何に致しましょう?」

「あのですね。入り口の自動ドア壊れてませんか? 今挟まれたんですが?」

「ああ、申し訳ありません!」


 店員は大声をあげ深々と頭を下げる。

 これには他の客も店員も、何事かとこちらを見つめているではないか。


「あ、いえそこまで……。とりあえず顔を上げてください」

「すみません、当店では自動ドアは扱っていないもので……」

「そこじゃないですけど、もういいです」


 気を取り直して注文をしよう。

 ソーセージエッグマフィンか。

 ハンバーガーとしては本寸法とは言えないものではあるけど、アリだな。

 たまには変わり種としては有りうる選択肢だろう。


「ソーセージエッグマフィンとMサイズのコーラ」

「ありがとうございます。少々お待ちください」


 その店員は何故か定位置から遠ざかっていく。

 手には出来立てのソーセージエッグマフィンを持ちながら。


「お待たせしました、ソーセージエッグマフィンでっすッ!」


 ――ヒューン、ガポッ。

 突然何か投げてきたと思ったら、口の中にはソーセージエッグマフィン。

 食べ物をこのようにして遊ぶなどとは……これは文句の一つくらい言うべきだろう。

 モゴモゴハフモグモグ。


「熱いけどうまぁい!」

「と、コーラMサイズです」


 トスンッ。


「お次の方どうぞー」

「ソーセージエッグマフィン3つ、持ち帰りで」

「少々お待ちくださーいッ」


 ヒューン、ガポガポガポッ――

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ギャグ系短編集 夕凪 春 @luckyyu

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