第4話 唄う先に待つもの
唄う者が唄うのは彼の地をすべからく、優しく温かい眠りへと導くため。
唄う者の役割は彼の地を眠らせ、その間に開発する事。
地球から飛び出した人間達は宇宙へと住み始めた。
地球が住めなくなったから。
彼らは住まう土地を宇宙へと求めた。
しかし地球のような惑星は無い。
彼らは力を合わせ、技術を集め宇宙に人が住まう都市を人工で築き上げた。
しかし、これには百年単位のサイクルで保守、補修、再開発が必要だった。
それには数年掛かる。
人が住まいながらそれを行うのは大変なものがあり、それを可能にするべく開発されたのが唄う者。
唄う者の能力は祈りと願いと鎮魂歌。
唄う者の唄は聞くもの全てにコールドスリープを促す為のもの。
だから、まことしやかに流れる唄う者に関する噂は噂でしかなく、誰も姿を知らないのだった。
彼女の名前はメル・アイヴィー。
人類が生きるために開発された、唄う者。
彼女の孤独は長く続く……
漂い、さまよう少女 織原深雪 @miyukiorihara
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