第3話 現れた幻のディーバ


その声は風に乗せて、届く。

この宇宙都市リベルタに、広く大きくたくさんの人に。


唄の力は祈りと願い。

そして鎮魂……。


その昔、幻と噂された唄う者。

幻のディーバ。


かの者の唄声はそこに現れればその場の全てに行き渡る。


その唄は、希望、願い、そして祈り。


全てを癒し、温かく迎える鎮魂歌。


そして、その姿は誰も知らない。


当の本人さえその役割を知らない。


それでも、彼女は目覚める度に唄う。


それが彼女の定め。


それが彼女の命運だから……。


彼女の名前はメル・アイヴィー。


幻のディーバと呼ばれし、唄う者。


彼女が唄うのは必然だった……

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